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2010.3. 2
沖縄での「浴びる」生活の中で

もう、19回目になる。

毎年2月は「浴びる」季節だ。

プロ野球のキャンプ取材で訪れる沖縄。

もちろん浴びるのは、南国の強い陽射し。

例年になく雨や気温の低い日が多かったという

ファイターズのキャンプだが、

自分が沖縄入りした後半はそんな天気とは無縁。

半袖を用意していかなかったことを大いに後悔した10日間だった。

 

数えてみたら、6回目になる。

2月の沖縄で「ふたつのものを浴びた」回数だ。

キャンプ取材で陽射しを浴び、冬季オリンピックの情報を浴びる生活。

体にはきついが、やらずにはいられない「浴びっぱなし」の沖縄生活は

4年に1度、巡ってくる。

 

ふたつのものを浴びていると、ふたつのことが頭に浮かぶ。

 

ひとつは、冬のオリンピック種目をめぐる日本の環境

~恵まれているとは決していえない、ハングリーとすらいえる厳しい実状という意味で~と、

その中で、困難に立ち向かい、国の代表として懸命に競技に臨むアスリートの熱情。

 

もうひとつは、

日本において最もメジャーなスポーツ、野球の頂点に君臨する

プロ野球選手たちの身体能力の高さ

~厳しい競争を勝ち抜いたものたちならではの、という意味で~と、

その能力をさらに引き上げていく環境の豊かさ、というもの。

 

そしてこの二つは、ギャップとなって、

複雑な思いの交錯を作り出す。

これもまた、6度目のことになる。

 

冬のオリンピックの種目となっている競技は

日本においては多くがマイナースポーツに属している。

南北に長く、雪や氷が生活の中に溶け込んでいる地域と

そうではない地域があるため、

全国的に親しむことができる種目が少ないことは、

宿命ともいうべきことだ。

それゆえ、全国民をまきこんだメジャースポーツになりにくく、

ゆえに、恵まれた競技環境を得にくいということもまた、

宿命かも知れない。

さらに、オリンピックという競技会においては、

全国民からの期待を―ときには無責任なものも含め、

背負うことになるのもまた、宿命だ。

ウインタースポーツを取材したり、実況している立場から、

そして、雪のある暮らしの中にいるという立場から、

この宿命と現実はとてももどかしい。

 

一方で、

プロ野球選手たちを最も間近で見ることのできるキャンプの場にいると、

何万人に一人の「スポーツエリート」としてプロ野球の世界に入ってくる素材のよさ、

そして、球団を挙げて彼らを鍛えさせ、サポートする体制の完成度に

毎年、関心させられる。

そりゃあ、面白いはずだ、と思う。

これだけの選手が、これだけの環境の中で鍛えて、

毎日、試合を見せるのだから。

メジャースポーツの持つ「厚み」を実感し、それを実況する立場の重みもまた実感する。

 

多様なスポーツが日常の中にあることは、

紛れもなくそこに暮らす人たちにとって幸福なことなのに

こんなコントラストが存在するのは、とても切ない。

 

双方の魅力をきちんと伝えられるアナウンサーでありたい。

沖縄の「浴びる」生活を経て、改めて感じることである。