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2011.12.28
こころに残ることばたち~2011年、年の瀬に

 

今年も

たくさんのことばが頭の中を駆け抜けていきましたが、

その中で未だ離れることなくとどまっているものを

思いつくままに。

 その1

「言葉には人格という根っこがついている」

(続き)

「…引っこ抜くと、人格や土や、

あたたかみや、むごたらしい根っこや、

いろんなものがくっついている…

(ところが)根っこ付き、泥付き、肥料付きの野菜よりも、

きれいに洗ってもらって根っこの部分が切り落とされて

パックされた野菜のほうが

見栄えがいいから商品になる。

…世の中に根っこのない言葉が出回ったり、

魚も切り身で売られている時代の中で、

言葉が魚の切り身のパックになって

飛び交っているという空しさを感じます

…根っこを意識できるようになり、

根っこは自分自身だし、

自我も含めて自意識とかが前面に出てきて、

自分と言葉が一体になっている感じが出てくる」

古館伊知郎・齋藤孝 「日本語トーク術」 (小学館文庫・2005年)

 

「画面の向こう側」から言葉を発することを生業とする者として

「発した言葉以外の、

映像や音声には出にくい“無形の力”は

実際にはどれほど存在し、

アナウンサーの力量とみなされるものなのか」

このことが、今年1年、頭から離れませんでした。

しゃべり手として文句なく尊敬できる古館さんのこの言葉に

霞が晴れたような思いを持っています。

 

もう一つ、同じ本から。

これは、「しゃべりのスキル」を具体的に上げていく上で、

背中を押されたような気持ちになった言葉です。

 

その2

「ものまねは洗練されればされるほど似なくなる。

自我がそれを許さなくなるから。

そこから生まれる『ズレ』がオリジナリティーであり、スタイルにつながる。

…個性を獲得したいのなら、

自分にないものを他人からどんどん取り入れて自我を拡張していけば

個性的な方向に向かう」

 

その3

本から得たものではなく、

自らの内面から湧き出た言葉では

シンプルな、このひとことです。

 

「想像力」

 

3月11日のあの出来事を受けて、

頭に浮かびました。

 

今、自分の目の前ではないところで起きていること、

自分と面識のない“誰か”の身に起きていること、

その“誰か”が今感じていること…

それを少しでも知るためには「想像力」を働かせるしかありません。

これを伴わない言葉は、紙の上から離れることのない

上っ面だけのものでしかありません。

 

その力には2種類あると思います。

ひとつは「人のために、人のことを想像する、そう試みるエネルギー」。

もうひとつは「その想像を、当時者が実際に直面している現状や思いに

少しでも近づけるための、経験や知識、感受性という人間としての力」。

 

今の自分に、

この2つの力がどの程度備わっているのだろうか、

自問自答をした1年でした。

 

その4

今年知り合った、

フリーで活躍する、ある同業者の方のことば。

さりげない表現だけど、

とても大切で、しかも、そうあるのは結構難しい、

あとからじわじわ効いてくる、含蓄のあることばです。

 

「しゃべり手というより、

社会人としての常識や感覚を大事にして、

親しみや好感を持ってもらい、

一緒にいて居心地のよい人間でいたいですね。」

 

来年も

ことばの重さと

それを発する人間としての中身を

見据えながら過ごす1年でありたいと思います。