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2013.9.19
会社魂のたましいvol.26 丸亀(札幌市)

「鮭は、生まれた川に必ず戻ってくる。
羅針盤も地図もないのに。
ふるさとを決して忘れず、
次の生命を残すために帰ってくる。
ロマンがあるじゃないですか。
他の魚にはない」
若月英晶社長は、
手にした鮭を見つめながら、愛おしそうに言う。
鮭を抱くその指は、驚くほどに太い。
来る日も来る日も
鮭の身と塩と格闘してきた証だ。


丸亀は、昭和10(1935)年、
秋田出身の鵜沼亀太郎が創業した
魚の加工品製造・販売会社。
ひとことでに言えば
「塩鮭」ひとすじの会社である。

80年近く磨き上げてきた
その技術の集大成といえる商品が
「さしみ鮭」。
その名の通り、塩鮭でありながら
刺身のように食べられる
絶妙の塩加減と身の柔らかさが特徴。
しかし、製法そのものは
まごうことなき「塩鮭」である。

自ら現役の加工職人である若月社長は
鮭の魅力について、こうも表現する。
「塩だけで、全体の味を決められて、
奥深い味を引き出せる。
マグロやヒラメには、これはない。
塩マグロや、塩ヒラメはないでしょう。
もちろん、もともとの身のうまさが大事だから
産地の選択は大事。
その上で、「塩梅」、
つまり、私たち加工する人間の腕が試される。
これが魅力ですね」

高級贈答品として本州でも人気の
丸亀の鮭。
しかし、歴史に裏打ちされた
鮭料理の文化を持つ本州に
“新興”の北海道の鮭を売り込む道のりは
平坦ではなかったという。
「自分たちで作った塩鮭と包丁一本を
担ぐようにして東京に行き
取引先の目の前でさばいて試食させて
契約をとりつける日々でした」
メディアにも積極的に出て
北海道の鮭の“広報官”のような役割も果たしてきた。

そうした困難を乗り越えた今、
新たな課題と向き合っているという。
今度の相手は「世界」である。

今、ノルウェーやチリ産の「サーモン」が
日本人の食生活に浸透し、
北海道の鮭の存在感が薄れてきていると
若月社長は危機感を募らせる。

「北海道の鮭はシロサケ科で
ノルウェーなどのサーモンと比べて
脂の量は決定的に少ない。
でも、今の日本人は
鮭のうまさ=脂のうまさととらえる人が
圧倒的に増えている。
北海道の鮭の特徴である赤身を
うまさとして伝える必要性を強く感じ。
そのためには、もちろん私たちが腕を振るって、
具体的には、最高の「塩梅」で
鮭の身のうまさを伝える商品を作る。
同時に、鮭という魚の奥深さを
もっと知ってもらう努力を
私たちが積極的にしていかなくてはいけない。
お母さん向けの料理教室とか、
子どもたちに塩鮭づくりの体験会を開くなど、
発信していくことも
鮭によって生計を立てている
私たちの責任なのだと思っています」

会社の裏庭には
鮭の「供養碑」がある。
鮭への感謝、鮭への敬意を忘れない。
生まれた川に“帰る”鮭に感じる若月社長のロマンは
仕事において初心に“帰る”ことを忘れない意識と
つながっているものなのかも知れない。

丸亀の会社魂は
9月22日の「けいざいナビ北海道」で。