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2013.11. 8
会社魂のたましいVol.28東洋鍍金(札幌市)

・鍍金と書いて「めっき」と読む。
・カナで「メッキ」と書くことが一般的だが、
実は「鍍金」というのは日本語である。
・メッキは「塗る」のでも「着ける」のでもなく、
「一体化」させる技術である。
…いずれも恥ずかしながら、今回初めて知ったことである。
文系人間の、何たる浅はかなことか。
自らの無知に恥じ入りながら工場に向かう。

初めて入る、メッキ工場。
なみなみと液体が注がれた
巨大な水槽のようなものが並んでいる。
魚の干物のように棒につるされた様々な部品が、
上から水槽の中に下ろされ、
ほどなくして引き上げられると、
まばゆいばかりに銀や金に輝いている。
魔法のようだ。

「亜鉛や錫といった表面になる部分の物質が、
槽の中にある溶剤の中で
電解した状態になっていまして、
そこにメッキをかけたい物質を入れると
化学反応を起こして表面で一体化する。
これが電気メッキの原理です。
それぞれの物質の性質にあった
溶剤の配合や前処理が重要になります」

まるで中学生に理解させようと
言葉を選びながら説明してくれる
手塚勝利社長。
こちらは頭の中にたっぷりの冷や汗をかきながら、
眉をハの字に下げたごまかし笑いを浮かべながら
懸命にその言葉を咀嚼しようと試みる。
ああ、中学、高校時代に
身に着けてしまった苦手意識が憎い。

その傍らで、従業員の方々は
すいすいと作業を続けている。

本州の、大手メーカーの城下町にあるメッキ工場は
安定した需要が見込める一方、
どうしてもそのメーカーと運命共同体のような状態になり、
「隣がくしゃみをすれば、こっちも風邪をひく」こともあるそうだ。
対して、北海道のメッキ業界は、
「よくも悪くも、そうした関係にはなりにくい。
納期も含めて、本州のメーカーニーズに応えるような
環境になりにくいところはありますね」(手塚社長)
その中で東洋鍍金は、
道内有数の自動化したメッキ加工ラインを持つなど
独自の技術で、
公共の器具、メーカーから依頼される電気部品や工業用品など、
様々なもののメッキ加工を手掛ける。
ただ、日常生活の中で
その仕事ぶりをお目にかかることは少ない。
公園の柵などのメッキ加工も手掛けているのだが
「その上にペンキを塗ってしまいますからね。
残念ながら、利用される方はその存在も
知らないでしょう」

一方で、
「基本的に、できることは何でも引き受ける、
というのがモットーなんです」
という顔も持つ、東洋鍍金。
きわめて「日常的」で「個人的」な注文も舞い込んでくるという。

「『芸術家』と名のる方が、
銅版を加工した自分の“作品”を毎年持って、
これをメッキ加工して欲しい、とお願いに来ますね。
それから、古いバイクのマフラーとか部品を持ってきて
ピカピカにメッキをかけて欲しい、という人もいます。
お店をやられているみたいで、
珍しいバイクを飾って人に見てもらいたいから、らしいです。
本州からも来られる方がいらっしゃいますね。
どこから聞いたのか、きっと仲間同士で
口コミみたいな形で知ったんでしょうね。
そんなことするメッキ会社、
あまりないですからね」

理科系の会話で少々及び腰になっていたが、
その話を聞いて、すっかり親しみが湧いた。
「そうだ、メッキって
暮らしの中にいろいろあるんですねぇ」
ちょっとしたり顔をしてみたが、
帰り際に気が付くところに
後ろめたさは残ったまま。

私たちの暮らしは
いろいろな力で、支えられているのです。
東洋鍍金の会社魂は
11月10日の「けいざいナビ北海道」で。