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番組表番組表

まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

会社魂のたましいvol.33 北海道パレットリサイクルシステム(苫小牧市)

物流の拠点、苫小牧。
今年は春の足音が遠く
街中にいても、海から吹く風が骨身に染みる。
それ以上の冷え込んだ工場内に
暖を与えてくれるジェットヒーターの炎。
ところがこれは、コンセントでつながっていない。
熱風を送り出す電源は、電力ではないのだ。
「ゼーベック効果を利用していまして…」
きたきたきた、科学用語。
頭をかきむしりたい衝動を抑え
話に耳を傾ける。

北海道パレットリサイクルシステムは
物流時に荷物を載せるための荷役台・
木製パレットをリサイクルする事業を行う会社。

木の板を組み合わせて作られたパレットは
重いコンテナなどを運ぶ上では
大きな力を発揮するが
役目を終えたあとの処理については
陽が当たっていなかったと佐藤弘幸社長は言う。

「北海道は全国でも特に
たくさんのパレットがあるんです。
ある、というより、置きざりにされている、
というべきかなですね。
使用済みのパレットを
海を越えてまた本州に戻す手間をかけたくないから
北海道に残して『あとはよろしく』って感じ。
業者の方にしてみれば処分にコストをかけたくないし、
私の立場でいえば、材料がより豊富にあるわけだから
お互いに助かる関係だったんです」

そして、佐藤社長の事業にはもう一つの柱がある。
木材パレットのリサイクルの過程で生まれる端材を
薪として利用し、
そこから熱と電気を生み出す
コージェネレーションの技術開発だ。
その成果が、「回生ジェットヒーター」と呼ばれる
電源のないところでも使える、自立型のジェットヒーター。
しかも、外気温が低いほど発電効率が高まるという、
北海道など厳寒地域や、災害時の活用などにも適したもの。
矢継ぎ早に、そしてうれしそうに
その仕組みを語る佐藤社長を前に
聞く側の文系脳はパンク寸前であるが、
目の前で灯るヒーターの炎は
確かに、未来を照らす灯りのように感じられた。

こうした研究、開発を進めていく拠点である会社は
設計、加工、製造が行える体制が備わっているが、
全て佐藤社長一人で作り上げたものである。

「すごいですね。生粋の技術者なんですね」
というと、意外な答えが。

「全然そうじゃないですよ。
自分のことは技術屋というより
さまざまな仕組みを提案するコンサルタント、
というイメージなんです。
世の中を見渡してみて、
足りないものとか必要なものを想像して
実行するために手元になかったものは
自分で作ったり手に入れる。
その繰り返しをしているうちに
こんな感じになりました。
生粋の技術屋だったら
逆に僕の事業は生まれなかったと思います」

気負いなく、我が道を行く姿勢は
いろんなものの顔色をうかがうことに慣れた
アナウンサーの頭の上を
ふわりと飛び越えているように感じられた。

北海道パレットリサイクルシステムの会社魂は
3月30日の
「けいざいナビ北海道」で。
なお、「しりたい会社魂」のコーナーは
4月からリニューアルします。
番組全体もさまざまなリニューアルを図り、
北海道経済の今をお伝えしますので
引き続き、よろしくお願いいたします。