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2015.6.16
ひさびさの読み聞かせ

子どもの通う小学校の行事で
およそ1年ぶりに読み聞かせをしてきました。

いち児童の親の立場で参加するわけですが、
とはいえ、職業は知られてしまっているのですから、
気持ちとしては毎回「仕事」です。

クラス替えがなかったので、
子どもたちの顔ぶれは前回とほぼ同じ。
ならば、前回の経験を生かしてみようと選んだ本が…

まんじゅうこわい.jpg

 「落語絵本 まんじゅうこわい」(川端誠・著)

綱渡りの男.jpg

「綱渡りの男」(モーディカイ・ガースティン著・川本三郎・訳)の2冊。
まずは落語でリラックスし、
感受性の受け皿を少し大きくしてもらって
毛色の違う少し複雑な内容の本を、
それぞれの感覚で味わってもらう、という思惑でした。
前回、このパターンでやったとき
子どもたちの表情に変化を感じたので、
同じやり方をしてみました。

まんじゅう②.jpg

もちろん、読み手の好みで選んだ2冊でもあります。
特に落語の絵本は、本当に刺激になるので
自らの勉強の意味で毎回選んでいます。
当たり前のことながら、
練り上げられた「話芸」の世界を表現するのですから
読み手に要求されるスキルは果てしない。
時代劇を観る機会もめっきり減った子どもたちに、
江戸時代の生活感や風情をイメージしてもらいつつ、
話に入り込み、感情の波を作り、
最後のオチでいい塩梅の虚脱感に持っていく。
いやいや、いい汗かきます。

まんじゅう①.jpg

2冊目は、実在する“伝説の大道芸人”
フィリップ・プティが実際に行った、
ニューヨーク・ワールドトレードセンターの
ツインタワーの間を綱渡りするという
偉業(でももちろん犯罪)の様子を描いたもの。

地上411mに、40mに渡って伸ばした綱の上で
1時間にわたって“空を歩く”。
どのようにビルに上がり、どのように綱を這わせ、
どのような気分で綱の上に立ち、
その後の彼は、どうなったのか。

綱渡り②.jpg

客観的に見れば、世の中の人を驚かす(騒がす)行為。
そのこと自体の是非はあるものの、
幼い頃誰しも感じた、
ちょっとしたいたずらの準備をしているときのドキドキは
大人になっても思い出す、
とても大事な感情だろうし、
聴き手の子どもたちが今最もリアルに感じるものだろう。

綱渡り③.jpg

何より、彼が綱渡りをしたそのビルが、今は存在しないこと。
その理由と、
プティのやった“綱渡りという罪”の意味を重ねて考えるときが
彼ら、彼女らに、いつか来るときを想定して
選んでみました。

綱渡り①.jpg

毎回のことですが、
目の前の子どもたちに言葉を投げかけるのは、
こちらのスキルと、向き合う真剣さと、
言葉を生業とする「大人」としての責任を
試されているような気がして、
楽しいけれど、気が引き締まりました。

当日、撮影役もお願いしてしまった担任の先生、
お世話になりました。