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番組表番組表

まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

ひさびさの読み聞かせ

子どもの通う小学校の行事で
およそ1年ぶりに読み聞かせをしてきました。

いち児童の親の立場で参加するわけですが、
とはいえ、職業は知られてしまっているのですから、
気持ちとしては毎回「仕事」です。

クラス替えがなかったので、
子どもたちの顔ぶれは前回とほぼ同じ。
ならば、前回の経験を生かしてみようと選んだ本が…

まんじゅうこわい.jpg

 「落語絵本 まんじゅうこわい」(川端誠・著)

綱渡りの男.jpg

「綱渡りの男」(モーディカイ・ガースティン著・川本三郎・訳)の2冊。
まずは落語でリラックスし、
感受性の受け皿を少し大きくしてもらって
毛色の違う少し複雑な内容の本を、
それぞれの感覚で味わってもらう、という思惑でした。
前回、このパターンでやったとき
子どもたちの表情に変化を感じたので、
同じやり方をしてみました。

まんじゅう②.jpg

もちろん、読み手の好みで選んだ2冊でもあります。
特に落語の絵本は、本当に刺激になるので
自らの勉強の意味で毎回選んでいます。
当たり前のことながら、
練り上げられた「話芸」の世界を表現するのですから
読み手に要求されるスキルは果てしない。
時代劇を観る機会もめっきり減った子どもたちに、
江戸時代の生活感や風情をイメージしてもらいつつ、
話に入り込み、感情の波を作り、
最後のオチでいい塩梅の虚脱感に持っていく。
いやいや、いい汗かきます。

まんじゅう①.jpg

2冊目は、実在する“伝説の大道芸人”
フィリップ・プティが実際に行った、
ニューヨーク・ワールドトレードセンターの
ツインタワーの間を綱渡りするという
偉業(でももちろん犯罪)の様子を描いたもの。

地上411mに、40mに渡って伸ばした綱の上で
1時間にわたって“空を歩く”。
どのようにビルに上がり、どのように綱を這わせ、
どのような気分で綱の上に立ち、
その後の彼は、どうなったのか。

綱渡り②.jpg

客観的に見れば、世の中の人を驚かす(騒がす)行為。
そのこと自体の是非はあるものの、
幼い頃誰しも感じた、
ちょっとしたいたずらの準備をしているときのドキドキは
大人になっても思い出す、
とても大事な感情だろうし、
聴き手の子どもたちが今最もリアルに感じるものだろう。

綱渡り③.jpg

何より、彼が綱渡りをしたそのビルが、今は存在しないこと。
その理由と、
プティのやった“綱渡りという罪”の意味を重ねて考えるときが
彼ら、彼女らに、いつか来るときを想定して
選んでみました。

綱渡り①.jpg

毎回のことですが、
目の前の子どもたちに言葉を投げかけるのは、
こちらのスキルと、向き合う真剣さと、
言葉を生業とする「大人」としての責任を
試されているような気がして、
楽しいけれど、気が引き締まりました。

当日、撮影役もお願いしてしまった担任の先生、
お世話になりました。