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2015.10. 3
花は咲き続ける

グラウンド上での汗と熱気とは対照的に、
舞台裏では芳しい香りと、心を癒す鮮やかな色に包まれるのが
この時期の札幌ドームの風物詩。

ファイターズのクライマックスシリーズ進出や
シーズン最終戦などを祝して、
あるいは引退する選手へのねぎらいを込めて、
贈られてきた多くの花が飾られる。

花は咲き続ける①.jpg

レギュラーシーズン本拠地最終戦の10月1日。
この日は中嶋聡・捕手兼バッテリーコーチの
引退のメモリアルゲーム。
本人の希望で、事前の引退発表は行われず、
来場したファンには
試合後の挨拶で栗山監督が発表した形になったが、
ロッカーの周辺には
他球団に移った後輩選手や
ともに汗を流した球界の先輩などの名で
多くの花が届いていた。

花は咲き続ける②.jpg

花は咲き続ける③.jpg

実働29年プレーした46歳。
「阪急ブレーブス」最後の選手である。
強かった阪急の時代をリアルに見ていた同世代の者としては
「最後」という言葉が、なんとも感慨深く響く。
捕手という、けがもしやすく、体力を使うポジションで
これだけ長い間、現役選手であり続ける。
気の遠くなる、時間の長さと密度だ。

中日の山本昌、谷繁も現役引退を発表し、
これで、「昭和」のドラフトで入団したプロ野球選手はいなくなる。
昭和は遠くなりにけり―。
自分が一番楽しく、プロ野球を観ていた証が消えていくような、
一抹の寂しさを覚える。
どれほど美しく、可憐に咲く花でも
永遠に咲くことができないのと同じように、
いつか必ず、枯れて、朽ちるときはやってくる。
だからこそ、瑞々(みずみず)しく咲いている最中は
その花の個性を、目に、記憶に、焼き付けようといつも思う。
その連続が、スポーツを「観る文化」を醸成し
何より、豊かな気持ちにさせてくれるのだから。

中嶋選手宛てに届いていた花は、
華やかな色合いのものばかりだったが、
花は咲き続ける④.jpg

選手としての印象は、その逆。
地味だけど、たくましく咲き続ける花だった。
出身地・秋田県の県の花は、ふきのとう。
厳しい冬に耐え、雪解けを待ちかねたように咲く。
それゆえに、観る人のこころに和らぎを与える。
そんなイメージが、胸に残る。

ふきの花.jpg

「何の悔いもない野球人生でした」
ここまで明言できるのは、何ともうらやましい。
次のステップに進んでも
花はこれからも、たくましく咲き続けるでしょう。
お疲れ様でした。