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2016.3.11
一魂~いっこん~

先日、小包が届いた。
送り主は、私の故郷・茨城県高萩市。

箱を開けると、そこには一本の日本酒が。
左党ゆえ、自然に頬が緩む。
 

産品開発を進める高萩市が今年世に出した
純米吟醸酒で、

その名は「高萩 真心一魂」(たかはぎ まごころいっこん)。
 

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文字を書いたのは地元の書家・鈴木赫凰(かくほう)さん。
日展で特選を受賞するなど郷土が誇る名書家だ。
文字通りの「真心」を伝える、誠実さがこもった筆の運び。

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酒米は地元の農家の方に依頼して昨年作付した「美山錦」。
地元の子どもたちには遠足の定番であり、
秋の紅葉で有名な清流・花貫川の水で育んだ。
地元に酒蔵はないので
日立市の老舗酒蔵「森島酒造」に委託して生産したのだが、
紛れもなく「故郷の酒」である。

これまで幾度も、酒どころの出身の人が
地酒を語るときの目の輝きを見てきた。
自分が踏みしめてきた土、飲んでいた水。
それで育った米を原料に作った酒。
郷愁というだけではない、
自分という人間の心の根っこを感じるとは
こういうことなのかと感じられたことが、うれしい。

また、その感情を抱いたのが、
きょうであることに、意味がある。
きょうは、3月11日。
5年前のこの日、
我が故郷も、震災の被害を受けた。

あの日。
遠く離れた札幌の地で、
目にし、耳にする情報の前で
自然の力を前にした無力さに愕然とし、
地に足がつかない感覚のまま時間が過ぎていった
あのときの気持ちを忘れてはいけないと思う。

自分が育った土地を思う―。
それは、そこで過ごした自分の時間と
その時間をともに過ごした人たちのことを
慈しむこと。

そしてこの感情は、
相手の心情に思いを寄せる思考を
錆びさせないことにつながっていくと思っている。

真心、一魂。
ことばの意味をかみしめつつ
故郷の味を味わおう。

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