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2016.8.20
冬の星は、夏も輝く

「お盆が終われば、北海道はもう秋の始まりだよ」
道民たちの常套句だが、
正直、ここ数年は怪しい。
特に今年は、なかなか暑さのブレーキが効きだす気配がない。
台風7号が通過した余波で、
ひときわ身体にまとわりつく暑さに耐えながら、
今月18日、この時期恒例の
ある行事の会場に向かった。

北海道カーリング協会による
「中期ビジョン報告および意見交換会」と
引き続き行われる
「2015-16カーリングオブザイヤー」の表彰式。
道内のカーリングチームの中で
そのシーズン最も活躍が顕著だったチームを
担当記者等による投票で決まる
「カーリングオブザイヤー」は
以前、カーリングの街・常呂(現・北見市常呂)を舞台に
番組を作ったことなどの縁もあり、
ここ毎年、投票させてもらっている。
司会の方が「今回は全員一致で決まりました」と
わざわざ加えて紹介したほど、
文句なしの支持で選ばれたのが…
常呂を拠点とするLS(ロコ・ソラーレ)北見。
今年2月の女子世界選手権(カナダ)で銀メダル、
日本のカーリング史上初のメダル獲得の快挙を果たした。

会場には世界選手権ではセカンドを務めた
鈴木夕湖選手(右)と、
2シーズン前から故郷のチームであるLS北見に移籍し、
世界選手権ではサードとして躍進を支えた
吉田知奈美選手(左)が出席した。

吉田鈴木2ショット.jpg

冷気に包まれたカーリング場での姿が見慣れているので、
暑さを実感して訪れたホテルで、
しかもスーツ姿の彼女たちを見るのは、
新鮮でもあるし、少し違和感もあったが、
会見の場で発せられた言葉には、
コミュニケーション能力が重要な要素であるカーリング選手らしい、
自分の意志を適切な言い回しで、しかも瞬時に答える
「いつも通り」の地に足のついた応答が心地よかった。

とき、まさにリオ五輪真っただ中の表彰とあって、
「オリンピックで注目される競技をしているアスリートとして
刺激を受けるのでは?」との質問に
吉田選手は「もちろんそうです」と答えながらも、
「カーリングが『4年に一度のスポーツ』と思われるのは、
正直悔しいです。
私たちがもっともっと強くなって、いつも好成績を収めて
トップであり続ければ、もっと注目されて
そういう見方をされなくなるのではないか。
そういう気持ちにさせてくれるというとらえ方をしています」

吉田1ショット.jpg

木選手は
「いろんな人が見て『カーリングって面白い』って思ってもらえる
プレーをすることが
「4年に一度のスポーツ」という見方を
変えていくことにつながると思います。
カーリングの経験もない、普段あまり見ない、
素人の方にでも『面白い』と感じてもらえる試合をする。
そのためにはショット率をもっと高めたい。
ショット率が上がるということは、
戦略どおりに試合が運ぶということで、
それが、カーリングの面白さを伝えることにつながると思います」

鈴木1ショット.jpg

周囲の見方や評価を変えたい、と思ったとき、
「こういう見方をしてください」と発信すること以上に
自分たちのパフォーマンスを向上させることで
自然に、見方を変えさせていくことを重んずる。
刻々と変化する状況に合わせ、
そのときそのとき、ベストの選択をし、
研ぎ澄ました技術でそれを遂行するという、
カーリングという競技の本質に沿った言葉だと思う。

一方で、他競技への関心や、リスペクトも欠かさない。
「リオを見ていて、心に残っている競技やシーンは?」
という質問に、吉田選手は
「卓球の女子団体ですね。
準決勝であと一歩のところで負けて、
そこから切り替えて3位決定戦を制した姿。
卓球って、チームスポーツなんだなって実感しました。
ラケットを握ってプレーする人以外にも
それぞれ大事な仕事があって、
それをやりきることがメダルにつながるんだっていうことが
伝わってきました。
石川佳純選手とは5月に会う機会があって
『お互い世界選手権は銀メダルだったね』って
声をかけあったんですけど、
今回の銅は、とても素晴らしいことだと思います」

同じく、鈴木選手。
「重量挙げの三宅宏美選手です。
体格的には私とあまり変わらない小柄な人なのに、
あんなに重いものを挙げるなんて。
それ以上に、スナッチで2度失敗して、
次失敗すれば記録なしになるという
追い詰められた状況から
3回目に成功して、そこからメダル(銅)まで持っていった、
あのメンタルの強さはすごいと思いました。
私も見習いたいと思った姿でした」

自分たちが取り組む競技に真剣に向き合うアスリートは
「畑違い」の競技に対しても
豊かな想像力を発揮できるものなのだなと感じる。
その背景には、
日常の密度の濃い過ごし方があることは、
容易に想像がつく。
リオでは、夏の星たちが煌めいた。
そして、彼ら、彼女らを見つめていた冬の星たちも、
夏に輝きを放ち続けていることを実感した。

この日、会場では
2018年の平昌五輪のカーリング日本代表は
今シーズン中に決まることが、改めて伝えられた。
五輪イヤーの1年前だが、
その時に向けた大事なシーズンは、もう目前だ。
再来年の2月、夏のアスリートたちは
世界を相手に戦う日本人カーラーたちの姿に
今回の彼女たちのような
刺激と感動を覚えることになるだろう。

追記。
今回、北海道協会から
「2015-16カーリングオブザイヤー 奨励賞」を受けた
この選手に、今後注目して欲しい。

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名寄高校2年生、松澤弥子選手。
今年2月、ノルウェーで行われたユース五輪、
ミックスダブルスで金メダルを獲得した
次世代を担うカーラーだ。
ちなみに彼女が印象に残る、リオのシーンは
「卓球の伊藤美誠選手。
世代が近くて、別の表彰で会ったこともあり
親近感を持って見ていました。
世界を相手に堂々と戦っている姿に刺激を受けました」

きっと近い将来、今とは正反対の寒い時期に、
逆に貴女が、たくさんの人に、
刺激と感動を与える人になっているよ。 
その言葉を胸に浮かべながら外に出ると、
北海高校、夏の甲子園ベスト4進出の知らせが。
(このブログ更新段階では、見事決勝進出!)
冬のスポーツも楽しみだけど
まだまだ、夏を堪能することにしよう。

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