tvhテレビ北海道

番組表番組表

まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

あと3年、もう3年

普段なかなか入ることのできない
「札幌市長応接室」。
落ち着いたたたずまいの空間なのに
このところ少々眠っていた「滾(たぎ)る」気持ちが
ムクムクと湧き起こってきた。

10月5日の「TVh道新ニュース」で
「ラグビーワールドカップ2019
開催都市表敬訪問」を取材した。

市長応接室雑感.jpg

2019年9月20日に開幕する、
アジアで初開催の「ラグビーワールドカップ」。
開幕まで3年を切ったこのタイミングで、
日本ラグビー史に刻まれる実績を残した
“レジェンド”が
「大会アンバサダー=大使」として
開催する各都市を訪問し
開催地の大会の気運を高めようという企画だ。
7月15日に発表されたアンバサダーは6人。
今回、札幌を訪問したのはこの人だ。

松田1ショット①.jpg

松田努さん、46歳。
大学ラグビー華の時代を謳歌した世代には
ドンピシャリのプレーヤー。
高校ラグビーでは無名校の
埼玉・草加高から
1988年、関東学院大に進学。
その少し前、
長らく続いた早慶明同の伝統校の寡占状態に
「モスグリーン旋風」大東文化大が風穴を開け、
関東学院大がそれに次ぐ「新興勢力」として台頭。
この図式が、空前のラグビー人気に拍車をかけていた。
「カントーの15番」松田選手は、
その熱気を鮮やかに彩ったプレーヤー。
彼がボールを持った瞬間、
6万人を飲み込んだ国立競技場のスタンドから
地響きのようなどよめきが起きたことは
今も鮮明に覚えている。
卒業後は東芝府中(現・東芝ブレイブルーパス)に進み
日本選手権3連覇など黄金時代のキープレーヤーの一人に。
広いストライドで相手ディフェンスを切り裂く、
野性的で、スピードと力強さを兼ね備えたアタック。
トレードマークだった長い後ろ髪を
いつもなびかせて走ったことから
「ライオン」と表するファンも多かった。

もちろん、ジャパンでも欠かせぬ存在で、
91年から2003年まで、4大会連続で
ワールドカップ代表メンバーに名を連ね、
キャップ数は43を誇る。

何より素晴らしかったのは、そのタフネスぶり。
ラグビーというコンタクトスポーツでは異例の
42歳までトップリーグでプレーし、
41歳9か月という
トップリーグ最年長トライ記録を現在も有する。
2013年シーズン終了後の現役引退会見で、
「シーズンを終了したときは、
もう1年やりたいなという気持ちもありまして、
チームの方にも話したんですけど、
『もう勘弁してくれ』と言われた。
普通のおっさんに戻ります」
と語り周囲を爆笑させた、
愛すべき「鉄人」である。

全体の流れでそうなったのか、
やりたそうな顔をしていたので周囲が気を使ったのか、
秋元札幌市長との懇談後、
代表インタビューをすることに。

松田・秋元懇談中②.jpg松田・秋元2ショット.jpg
学生時代から見ていたスタープレーヤーを前にして
いい歳こいて、浮わつきながらのインタビューになってしまった。

「北海道は東芝の合宿で毎年訪れていたし、
月寒(競技場)でも何度も公式戦をしていますが、
とにかく芝がすばらしい印象です。
(2019年の会場)札幌ドームという屋内施設での
テストマッチとなれば、世界初となるので、
世界中のラグビーファンが注目するはず。
昨年のイングランド大会での日本の躍進はありましたが、
あと3年で、この日本に
ワールドカップがやってくることを知らない人も、
正直まだまだいますので、
もっともっと認知度を上げる役割を担いたいと思います」
現役時代と変わりない少しハスキーな声で、
実直に語ってくれた。

松田インタビュー中.jpg

ラグビーワールドカップの
開催期間は約2か月。
オリンピックやサッカーワールドカップと比べてもかなり長い。
それすなわち、世界中から来たラグビーファンが、
開催地に長く滞在することを意味する。
単純にラグビーの試合だけを楽しむだけでなく、
その土地、地域の魅力そのものをじっくり知ってもらえる機会になる。
もともと観光地としての潜在能力が高い北海道にとって
大きなチャンスを秘めたイベントといえる。

無論、試合そのものの魅力も
他のスポーツとはひと味違うものがある。
鍛え上げられた巨漢の男たちが
闘争心という本能と、戦術・戦略という知性を極限まで高め上げ、
何より、チームの勝利のために労を惜しまず、
走り、ぶつかり、楕円球を追い、
そして試合が終われば「ノーサイド」。
情熱を注いだ同じ時間を共有した
尊敬できる「友」として
敵味方の区別なく抱き合う。
ルールを知っているかどうかを超えた、
万人の心に訴えかける普遍的な力が、
このスポーツにはある。
そのスポーツの世界最高峰の試合を体感することは、
きっと、心の財産になる。

あと3年、しかしもう3年。
ラグビーに
「スポーツマインド」を育ててもらったと確信する人間として
もっと、何かをしたいと思う。
…という意気込みだけはとりあえず示そうと、
当日の取材のときに身に着けたのは
20年ほど前に通販で購入した
ラグビーワールドカップ公式ネクタイ。

ネクタイ1ショット.jpgネクタイ寄り①.jpg

性懲りもなく、また外見から入ってしまった。