博士が行く!〜山菜で万歳編〜【矢部順子】

5月のよく晴れた休日、
植物の研究をしている叔父とその家族(叔母・いとこ2人)、
叔父の友人家族と山菜採りに行きました。
目指すは「ウド」と、私の大好きな「たらの芽」です。

目的地の山へ入って10分後、たらの芽のつき具合を見た叔父が、
急に山道の真ん中で立ち止まりました。
すると、こっちを振り返り、
「きょうは年に1、2日あるかないかの、山菜採りのベストの日だ」
…眼の奥がキラリと光りました。

その言葉通り、山の斜面では、ふっくらとしたたらの芽や、
最近人気があるという「コシアブラ」を収穫。
みるみる袋がいっぱいになっていきます。

わき目も振らず、私たちがいることすら忘れているかのように、
叔父はひとりでどんどん山の中へ入っていってしまいました。
姿が見えなくなったので、いとこに
「おじさん、どこにいったの?」と訪ねたところ、
「森に帰っていったんだよ」と一言。
気がつくと、まわりの植物と同化していました。

たくさん山菜を採った帰り際、スーパーに寄り、私は白ワインを買いました。
すると、叔父がそれを見て「ニッ」と笑ったんです。

理由はすぐに分かりました。
その日の夜は、たらの芽、ウド、コシアブラの天ぷら、
ウドの酢味噌あえの山菜祭り!
山菜独特の香りが広がり、食欲をそそります。

食事を前に叔父がそわそわ。そして出てきた山菜料理を前に、
「順子、ワイン飲むぞ」
勢いよくワインを空け、グッと一口。
「やっぱり山菜の天ぷらには白ワインだな」

自分の食べたいものを採り、飲みたいものを飲む。
叔父に、今回も自由な生き方を教わったのでした。