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2019.08.24 放送
特 集書店ビジネス~復活のカギは1万円選書に推し作家!?~

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今週のMCは杉村太蔵さん。
コメンテーターは北海道大学大学院経済学研究院の平本教授。
今回のテーマは「書店」。
ことし5月1日時点の北海道の書店数は550店と、20年前と比べるとほぼ半減。(アルメディア調査)背景には、出版不況があると言われている。紙の出版物の販売額は、14年連続で減少する一方、電子市場は年々伸びている。(出版科学研究所調査)
こうした中で、生き残る書店のビジネスモデルを探る。



Still0822_00005.jpg去年11月にオープンした「江別蔦屋書店」。「ライフスタイルの提案」をコンセプトに、「知」「食」「暮らし」の3つの棟で、約26万冊の本と雑貨などを販売するほか、飲食店も入居する大型複合書店だ。望月起一さんは「新しい興味関心のきっかけが本であることも多い。生活の提案において本は最強のツール」と語る。





Still0822_00006.jpg客にとって居心地の良い空間づくりは欠かせない。店内にはたくさんのいすが置かれていて、客は、気に入った本を手に取ってじっくりと読むことができる。「本」を入り口とする蔦屋書店の戦略にとって、ライバルはネット書店だ。望月さんは「ここで本を買うことがかっこいい、おしゃれであるというような価値を演出したり、人が血の通った提案をしたりとかは、ネットでは代替できない価値だと思う」と話す。




Still0822_00008.jpgそんな取り組みの一つがコンシェルジュ。絵本とワークスタイルを専門とする2人がいる。絵本を担当する佐賀のり子さんは、長年、幼児教育に携わってきた。その場で読み聞かせをすることもある。今後、他のジャンルのコンシェルジュも徐々に増やしていきたい考えだ。
こうした取り組みもあり、オープンから9か月余りで、来店客数は、平日で3,500人、週末は7,000人と、当初の見込み通りに推移している。 




Still0822_00011.jpg砂川市の「いわた書店」。2代目社長の岩田徹さんが取り組んでいるのは、「1万円選書」。読書歴や経歴などを記入してもらう「カルテ」をもとに、その人に合った1万円分の本を選んでいる。去年は、全国から7,700通もの応募があった。これまでの人生で苦しかったこと、うれしかったこと、何歳の時の自分が好きか...。こんな質問を、岩田さんはカルテで投げかける。




Still0822_00014.jpg岩田さんは、1990年に店舗を改築。直後に、バブルが崩壊し、綱渡りの経営を強いられる。そして、2006年、1万円選書のきっかけとなる出来事が。高校の先輩に経営不振を相談した際、「1万円で面白い本を送ってくれ」と言われたのだと言う。岩田さんは「本屋は面白い本を並べず、売れそうな本を並べてたんだ」と気づいたと語る。





Still0822_00015.jpg1万円選書は、すぐにブレイクしたわけではなく、経営状態は厳しいまま。資金繰りに眠れない日々を送っていたという2014年、転機が訪れた。全国放送の深夜番組で「1万円選書」が紹介され、一気に注文が増えた。店頭の品ぞろえも、新刊にこだわらないなど、大きく変わった。岩田さんは、選書をする相手には、最低でも4回、メッセージを送る。 本を発送するときは、選んだ理由を書いた手紙を同封する。こうしたきめ細かなコミュニケーションこそが、実は1万円選書のもっとも重要なポイントだという。今、1万円選書は、売り上げの約4分の1を占めるまでに成長した。 


Still0822_00012.jpg番組MCの杉村さんにも、1万円選書を体験してもらった。
カルテの記入では「何歳の時の自分が好きですか...断トツで、今の自分」などと答えた杉村さん。
普段は読まないという、小説など13冊が贈られた。






Still0822_00018.jpg札幌市豊平区の「かの書房」。今年3月にオープンした新刊書店だ。代表を務めるのは加納あすかさん。加納さんが、自ら書店を開こうと考えたのは、勤めていた書店の閉店がきっかけだった。小規模の書店で働きたいと、店を探したが見つからず、自ら開業した。書店員としての経験から、本の売り方には、まだ工夫の余地があるという。その一つが、本の並べ方。同じテーマなどに合わせ、ジャンルの垣根を越えて並べるなどの工夫を凝らす。



Still0822_00020.jpgもう一つ、かの書房のユニークな取り組みが「推し作家」。加納さんが選んだ25人の作家をとことん応援していく、という、作家と読者をつなぐ試みだ。推し作家のひとり、萩鵜(はぎう)アキさんは「ただ置かれてるという状況じゃなく、推してるから置かれてるんだよという安心感。かの書房さんを通してファンレターをもらい、SNSの感想よりも思いを感じた」と話す。




Still0822_00024.jpgオープンから5か月余り。月の売り上げは約50万円と、経営を安定させるためには、まだまだ足りない。今後は、高齢者施設での出張販売や、地方のマチの図書館などに仕入れ先として使ってもらう、いわゆる外商開拓にも取り組んでいきたいという。さらに、先の「いわた書店」の岩田さんに許可をもらい「いちご選書」を始めるという。小学校高学年から大学生くらいまでの世代を対象に、1,500円分の選書をする。冬までには、スタートさせたい考えだ。




Still0822_00025.jpgリアル店舗としての強みを生かす、書店ビジネス。
番組の最後は杉村太蔵さんの「薄口」コメント。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。

【取材先】
江別蔦屋書店、いわた書店、かの書房