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2019.08.10 放送
特 集「育てて稼ぐ」養殖ビジネス

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今週のMCは鈴木ちなみさん。
コメンテーターは北海道大学大学院経済学研究院の平本教授。
今回のテーマは「養殖」。
安定供給・環境保護などの観点から必要性が増している。






Still0807_00002.jpg北海道大学の学生4人によるチーム「アクアモウ」。
彼らは121カ国から5万チームが参加する世界最大規模の学生ビジネスコンテスト「ハルトプライズ」に出場。東京で開かれた地域予選で優勝し、次のステージに進む40チームに残った。彼らのアイデアは「ティラピアの養殖でナイジェリアの失業・食糧問題を同時に解決する」というもの。





Still0807_00001.jpgティラピアはアフリカ原産の淡水魚で、味はタイに似ているそう。日本ではなじみが薄いが、価格の安さなどから、頻繁に食卓に並ぶ国も少なくない。
チームのリーダーでナイジェリア出身のイフェアニー・チュクさんが、自分の研究で母国の課題を解決したいと、今回のビジネスプランを作成した。




Still0807_00004.jpgチュクさんたちの研究室は、ティラピアの性別について研究。オスの方がメスと比べ、成長が早いことに着目した。成長の速いオスだけを育てることで、飼育期間を4カ月に短縮する。
では、どうやってオスだけを生み出すのか。そこに北大の研究の成果が。






Still0807_00007.jpg自然界のティラピアはXとYの性染色体で性別が決まり、XXのメスとXYのオスが存在する。まずはこのXYのオスにホルモンを混ぜたエサを与え続けることで、メス化させる。そうして生まれたXYのメスとXYのオスを掛け合わせると、4分の1の確率でYYのオス、「超オス」が誕生する。「超オス」から生まれる子どもは、100%オス(XY)になるという。

この手法は、高級食材の「白子」を持つトラフグのオスの養殖でも使われている。大きさや栄養は自然の個体と変わらないという。



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こうしたチュクさんの研究を支えるのが、「アクアモウ」のメンバー。研究内容も国籍も違うチームメートがそれぞれの知見を生かし、技術面などからチュクさんのビジネスをサポートする。チームは、養殖の課題となる「環境への影響」「エネルギー」「エサ」の3つの問題への対策を講じる。
安くて再生可能な太陽光を使った新たな水槽を開発。この開発は工学院のメンバーが担当した。また、エサには一般的な魚粉ではなく、安価で栄養価も高い昆虫を使用する。



Still0807_00012.jpg商業化が決まった場合、1年目に若者500人を雇用し、2年目に黒字化。10年後には、従業員を1万6,000人まで増やす計画だ。ある調査によると、ナイジェリアでは魚210万トン不足している。アクアモウはこの不足を埋め、国民全員が毎日魚を食べられるようにするという。

チームは今イギリスで合宿中。一流の研究者や経営者からのアドバイスを受け、9月からニューヨークで行われる本戦への出場を目指す。優勝すると、起業資金として100万ドル(約1億円)が贈られる。



Still0807_00014.jpg後志の神恵内村。かつてはニシン漁で栄えたが、ニシンが獲れなくなってからは、「獲る漁業」から「育てる漁業」への転換を図ってきた。2010年ごろ、「海の砂漠化」と言われる「磯焼け」の被害で、コンブなどの海藻が消滅しかけたことも大きなきっかけに。
そんな神恵内村の特産品の一つが、海藻を食い荒らす元凶ともなっていた「ウニ」。村は、3年前このウニの養殖化に乗り出す。




Still0807_00016.jpg磯焼けで身入りの悪いウニを、カゴに入れて海で育てる。ウニの養殖はまだ全国でも例が少ない。
こうした特産品をブランド化し、漁業者の所得を増やそうと、周辺のマチがおととし地域商社を設立した。神恵内・岩内・泊の頭文字を取って名付けられた、「KIT BLUE」だ。





Still0807_00019.jpg天然のウニは6月から8月が旬で、観光客を中心に高い人気を誇るが、磯焼けの影響もあって漁獲量はピークの半分以下。時期をずらし冬場も出荷できる養殖物は外国人でにぎわうニセコの富裕層を狙って、「冬ウニ」として売り出す。コストはかかるが、希少性から取引価格は夏の倍に跳ね上がることもある。





Still0807_00021.jpg岩内のすし店、「竹鮨」。ここに訪れたのは、香港のグルメ雑誌の取材クルー。9月号に掲載する約120ページのうち、3分の1をニセコ周辺の特集にする予定だ。竹鮨が使うウニは、周辺の3町村で取れたもの。冬場にはKITBLUEから冬ウニを仕入れるのだという。竹内一成代表は「近年養殖技術が進化して、冬でも夏と遜色ないくらい甘いウニが提供できるようになった。これから活性化して増えていくと思うので期待している」と話す。




Still0807_00024.jpg取材クルーの次のお目当ては、神恵内の特産品で、「海のダイヤ」と呼ばれるナマコ。中国や香港では、伝統的に結婚式や成人式など、お祝い事で出される高級品として食べられている。KIT BLUEも、乾燥ナマコの開発に力を入れている。






Still0807_00028.jpgこの地域で獲れるマナマコはイボの形や見た目が良く、乾燥ナマコは1個当たり4,000円以上で売れるのだという。ここでも安定生産のカギを握るのは、「養殖」。幼いナマコをいけすで育て、海に放流して増やす計画だ。







Still0807_00026.jpgこうして生まれたナマコを売り出すカギを握るのが、香港の取材陣を案内していた、前田伸一さん。実はニセコでレストランを営むシェフで、去年、積丹半島の協議会に「ナマコ大使」を任命された。食感にこだわり、同じく神恵内で取れる高級食材「アワビ」と「ホタテ」と組み合わせた薬膳スープを考案。前田さんは「産地として素晴らしいと思うのはアワビやホタテが取れるところ。薬膳の部分、何がどう体にいいのかしっかり発信しながら、アワビやホタテと提供するのがキーポイントでは」と話す。



Still0807_00030.jpg安定供給はもちろん、アイデア次第で「稼ぐ漁業」へとつながる養殖ビジネス。
番組の最後は鈴木ちなみさんの一言コメント。コメントのフルバージョンはYouTubeなどのSNSで公開中。
【取材先】
アクアモウ、北海道大学 函館キャンパス、神恵内村、KIT BLUE、竹鮨(岩内)、杏ダイニング(倶知安)、根室市、富士通