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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

会社魂の魂No.21 ほくやく(札幌市)

医療用医薬品の卸を行う会社に行ったのだから
まあ、当然なのかもしれないが、
決して得意とは言えなかった
小学校の理科の授業
「人体の構造」で習った用語を投げかけられ
心の中で冷や汗をかいていた。
「右心房です」「左心室です」「毛細血管です」。
えーっと…。


創業100年を超える「ほくやく」。
道内各地の7つの医薬品卸の老舗が
平成になって合併し、
道内シェアトップを走る企業である。

眞鍋雅信社長に案内された。
まず各医療機関や薬局からの注文を受け付ける
カスタマーセンターに案内される。
眞鍋社長曰く
「会社を人間に例えるなら
心臓の右心房です」
???
脳を高速回転させ
過去の記憶を引っ張り出す。
答え:全身より帰ってくる血液を受け入れる場所。
転じて「取引先の注文が一か所に集まるところ」
よしよし、なんとかイメージできた。

続いて案内されたのは、配送センター。
ここに集約された薬が
道内20か所の配送拠点に送られる。
「ここは、心臓の左心室です」
答え:肺で酸素をもらった血液を全身に送り出すところ
よしよし、イメージOK。

「ここから送られた薬は
各地域の拠点から
各医療機関や薬局に薬を送られます。
毛細血管のような物流体制を構築しています」
指の先まで、血が通っていくように
必要な薬が送られる。
うんうん、これはイメージしやすい。

ただ、これらの例えは
単に想像しやすいからだけではないと思った。
それぞれに
人体に例えられるとしっくりくる
「血の通った感覚」があるのである。

“右心房”のカスタマーセンターには
取引相手の個別の「特徴」、
「クセ」といってもいいことが
詳細にデータ化され、
オペレーターはそれにそって応対している。

“左心室”配送センターは
有事の際にも安定して薬を発送できるよう
あえて人の手で仕分けするシステムを採用している。
(眞鍋社長が関西で仕事をしている際に
阪神・淡路大震災が発生し、
徹底した機械化により、無人化を図ったラインが
もろくも止まってしまった工場があったことを
目の当たりにした体験に基づくそうである)

“毛細血管”地域物流システムは
「中央からの直送は
北海道のような広大なエリアでは
緊急時に時間がかかりすぎるし、
合併前の各社が築いてきた
古くからのお得意さんとの関係を
大切にしたほうが、
いざというときに役に立つ」
との発想に基づいている。

現在「ほくやく」は
13の会社で構成される
「ほくたけホールディングス」の傘下にあり
薬に関する事業だけでなく
広く医療や介護の現場に関わる現場を
取材させてもらったが、
どこに行っても、ある共通の空気が
漂っている感覚があった。

きっとそれは
眞鍋社長が言った
この言葉に集約されるものなのだろう。

「薬は、いうまでもなく医療現場で使うものです。
では、その医療の場で、
欠かすことができないものは何でしょうか。
どんなに最先端の技術を駆使することになっても
根底に流れるのはやっぱり、
生身の人間としての
血の通った声かけや心配りでしょう。
ということは、
そのような場所に携わる私たちの仕事も
欠かすことができないものは同じ、だと思います」

病は気からというが、
病院であれ、薬局であれ、
薬を手にするときには
心身ともに弱っているもの。
なかなか目に見えるものではないが、
こんな言葉が背景にあれば、
それもまた、“追加のお薬”かも知れない。

「ほくやく」の会社魂は
6月9日の「けいざいナビ北海道」で。

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