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2013.9. 5
会社魂のたましいvol.25 晋南貿易(札幌市)

「北海道の中華料理は、世界一です」
曲健三社長は
札幌の中国大使館総領事に、こう評されたそうである。
中国国内における高級官僚、すなわちエリート。
当然、最高の中国料理を知るはずにして
母国の文化に強いプライドを持つはずの人物。
外交辞令で、おいそれとそんな言葉は口にしない。

「お一人だけではないんです。
歴代の総領事の方から、同じことを言われました。
『北海道の食材は世界最高レベル。
だから、それを使った中国料理は
世界一の高みにある』と。
ありがたいと思うのと同時に
この評価に恥じない中国料理の文化を
北海道に根付かせないといけないと
身の引き締まる思いです」

北海道における
中国料理食材の卸・販売の大手、晋南貿易。
曲健三社長の父、故・曲学礼氏が
1953(昭和28)年に創業。
中国・山西省の地主の子として生まれた学礼氏は、
戦前から農業を学ぶべく日本に渡り、複数の大学に留学した。
北大大学院在学中、
すでに家庭を持っていた学礼氏は、
生活のため、当時入手が難しかった中華食材・クラゲを
札幌のホテルのために仕入れる事業を始めた。
戦後まだ8年しか経っていない当時は
もちろん日中の国交もなく、
中華料理そのものになじみがなかった。
その後、文化大革命など
祖国の事情が変化する中で
日本で生きていくことを決意した学礼氏を
健三社長は
「実直そのもの。浮ついたことは何一つせず、
家族と、商売を成り立たせてくれる周りの人たちを
いつも大切にしていた。
国交もない日本に、
ほとんど身体ひとつのような状態で来た父は
とても心細い思いもしたと思うんです。
だからこそ、人のありがたみを人一倍感じたはず。
そんな父が作った会社の姿勢もまた
父の姿そのままじゃなきゃならないと思います」

そのまま学礼氏は北海道に根を下ろし、
健三社長は道産子として育つ。
父の祖国と、自分の育った土地。
双方が織りなす食文化としての
「北海道の中華料理」に対する思いを
三代目となった今、
形にしようとしている。

「北海道は、本州のいわゆる中華街を持つ都市のように
中華料理が進んでいる、という印象は持たれていませんが、
ここ数年は、全体のレベルはすごく上がっているんです。
中国本国や本州から“取り入れる”段階を経て
“自分たちの”中華料理に進化させようという
料理人が増えている。
われわれのような、食材や調味料を調達するものが
そこと連携すれば、
総領事のおっしゃっていた言葉は
証明されるんじゃないかと思うんです」

「北海道には、中国系の方が数多く観光に来られますよね。
観光の楽しみは、何と言っても食です。
そこで、普段食べなれているはずの中華を
北海道の食材で、北海道の料理人が作るものを食べてもらい、
『俺たちが普段食べているものよりうまい!』と言ってもらう。
そんな観光スタイルができたら素晴らしいと思うんです」

収録で出していただいた料理の中に
エビチリソースと雲白肉(ウンパイルー=茹で豚のにんにくソースかけ)があった。
個人的に、「中華最強のツートップ」である。
小学生のときに法事か何かで中華料理屋に行き、
初体験の回るテーブルの上に載って出てきて
「こんなうまいものが世の中にあるのか!」
と感動したのがエビチリ。
社会人になったばかりのころ、先輩に連れられた中華料理屋で
初めて口にし、
「俺はこんなうまいものを食べられる大人になれたのか!」
と感動したのが雲白肉。

収録後、
道産ジャガイモを使って開発したという
“北海道白酒(パイチュー)”をいただきながら
そんなエピソードを力説する大人げないリポーターを
曲社長は、ともに杯を傾け、穏やかな笑顔で受け止めてくれた。
「みんなで楽しく食べて飲むのが、中華料理ですから」

自分だけの、お気に入り中華をイメージしながら見て欲しい
「晋南貿易」の会社魂は
9月8日の
けいざいナビ北海道で。