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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

変わる春。見つける春。

社会人になって20年目という節目の年度に入った。

ただ節目というだけで、

特別構えた気持ちを持っているわけではないけれど、

偶然にも、新しい分野の仕事に携わることになった。

「けいざいナビ北海道」のキャスターである。

自分のこれまでの仕事の歩みを考えたとき、

もっとも遠い位置にある分野と思っていたものが

いきなり目の前にやってきた。

ただ、不思議と戸惑いはない。

この年齢になって、「新たなジャンル」というものに

携われる機会は、むしろ貴重で、ありがたいこと。

背伸びをしないで、新たな「学び」の機会ととらえている。

 

その取材で、ある会社の社長と話をする機会があった。

創業、嘉永5年(1859)。道内で最も老舗の菓子製造・販売会社。

8代目社長は、和菓子づくり職人として入社し、

今もなお、職人魂を持ち続ける人物である。

いろいろな話の中で、

以前、全く同じ内容のことを聞いたことがあった。

 

「老舗として『味を守る』といわれるけど、

消費者の味の嗜好は常に変わるものなんです。

同じ味のものを作り続けることは、

伝統を守ることではなく、時代に取り残されることになります。

だから、和菓子の定番であるどら焼きとか、饅頭とかも

食べる人の好む味の変化に合わせて

作るほうも常に味を変えなきゃいけない。

ただ、一気に変えてしまうと

昔からなじんでいる人は抵抗が強くなるし、

長くひいきにしてもらった常連客を失うことにもなりかねないから、

味の変化は少しづつ、

ほんとうにちょっとづつ変えるようにしていきます。

ほとんどの人に分からないように変えていき、

気がつけば時代にあった味になっている、というのが大事なんです。」

 

10年ほど前、

「長寿番組」といわれるある番組の総合司会を

長らく務めた前任者から引き継いだ

先輩アナウンサーは、全く同じ表現をした。

 

「司会が変わった以上、

時代にあった、僕なりの番組にしたい気持ちはある。

でも、これだけの長寿番組。

ずっと見続けてくれている視聴者の方を

驚かせるような変化をさせたくない。

それは決して、番組のためにはならない。

毎日少しづつ、1ミリずつ変化させていって、

1年後に、気がつけば『あの人の番組だね』って

言われるようにしたい」

 

1年後、その言葉通りに番組は装いを変え、

そして今も変わり続けながら、続いている。

 

変えなければ、取り残される。

一気に変えると、拒否される。

変えることは、信念と、忍耐と、

何より、相手の気持ちになることが必要。

 

全く異なる業種の人から

同じことを言われて思った。

「この番組、なかなかいいぞ」

 

経済とは「人の営み」。

経済を知ることは、人の知ること。

そんな見方をしていただけると、

きっと様々な発見があると思います。