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番組表番組表

まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

雪空を翔(か)ける彼女たちに思う

その姿は、「舞う」ではない。
もっと「自らの力で」という、意志がこもっている。
「飛ぶ」より、もう少し悠大なイメージ。
2本のスキーを翼にし、空中を「翔ける」。
うん、これが一番、彼女たちを表するのにしっくりくる。

今月15日から名寄で行われている
スキージャンプ、全日本女子チームの合宿の
公開練習を取材した。
ワールドカップ序盤を終えて、
高梨沙羅、伊藤有希ら
の代表メンバーも合流、
沙羅笑顔.jpg 岩渕香里.jpg勢藤優花.jpg伊藤有希.jpg
 

 

 

 

 

W杯遠征メンバーの4人
左上:2年連続W杯総合優勝の高梨沙羅(クラレ)
右上:昨季世界選手権個人銀メダルの伊藤有希(土屋ホーム)
左下:昨季世界選手権初出場の岩渕香里(松本大)
右下:高梨の幼稚園からの幼馴染、現在急成長中の勢藤優花(北海道メディカル・スポーツ専門学校)
現状の女子トップジャンパーがそろい、
大飛躍が連発...と思いきや、
朝から湿った雪が降り続く、あいにくの天気。
視界不良②.jpg視界不良①.jpg

助走路は詰まり、ランディングバーンは緩い状態で
転倒の危険が高いということで、
予定より1時間早く切り上げることに。

練習後の共同インタビューで
「2015年を漢字一文字で表すと『吸』の年。
よくも悪くも、たくさんの経験を積みました。
来年は、今年の経験を自分の中に『収めて』
更なる成長につなげていく年、
『収』の年にしたいです」と語った高梨選手。
沙羅1ショット.jpg

質問者として聴いていて、
「うまいこというなあ」と感心した。
ただそれ以上に、普段試合会場で見せる険しい表情とは違い、
リラックスした笑顔が多いのが印象的だった。
その後の囲み取材では更に顔をほころばせ、
「私、試合のときは会場に来たときから
集中のスイッチが入ってしまって、
ジャンプ以外のことに意識がいかなくなってしまうんです。
皆さん、無愛想な子だなって思ってますよね~」と
普段はあまり聞かない茶目っ気のあるコメントも。
ああ、これが彼女本来の姿なのか、と感じられて、
ちょっとホッとした。
そして、この時間と空間は、彼女にとってそれぐらい
リラックスしていられるものであるということでもある。

午後は下川町の体育館に移動して、
コンディショニングの様子も拝見。

女子選手GS.jpgバレーGS.jpg

高梨選手がバレーボールに興じる...いやいや、れっきとした練習に取り組む
貴重な姿も間近で見させていただいた。
沙羅バレー①.jpg沙羅バレー②.jpg

午前中以上に笑顔いっぱいの選手たちの姿を見ると
こちらの口元もついつい緩む。

こうした空気の中にいると、
改めてジャンプという競技は
「自分と向き合うスポーツなのだ」と感じる。
要は、あくまで自分がどれだけ遠くに飛ぶか。
もちろん試合で優劣はつくが、
格闘技のように
目の前にいる相手を打ち負かすものではない。
己が誰よりも遠くに飛べば勝つし、
自分より遠くに飛ぶ人がいれば、負ける。
そういう性質の世界にいるからか、彼女たちからは
「あの人にだけは負けない」とか
「この中で一番になってやる」といった、
隠しきれないギラギラしたものが伺えない。
いい意味で純粋に、
「レベルの高い選手たちの中で過ごすことで
より己を向上させる機会にしたい」以外の
余分な野心が感じられない。

沙羅ジャンプ台.jpg

個人的には、ジャンプ選手たちが醸す、
こうした空気に、いつも心地よさを覚える。
より遠くに飛ぶために、
自分に対しては常にシビアに、細部に渡って向かい合い、
それゆえに、同じ競技に取り組む仲間たちとは
常にフラットな気持ちで触れ合える。
対決でもなく、さりとて馴れ合いでもない。
この空気に触れると、
ジャンパーとは「自らの翼で空を翔けている」
という思いがより強くなる。
中継では、そこまではなかなか伝え切れないのだが、
もっと知ってもらいたいといつも思うことだ。

年明け、1月10日に行われる
第27回TVh杯ジャンプ大会。
今年は、2016年のラージヒル初戦。
女子では今回合宿に参加している選手たちも、
男子も現在ワールドカップを転戦中の
日本のトップジャンパーたちが参加予定。
「翔ける」者たちのみが醸し出すものを
どう伝えるか、
思案しながらの年が暮れていく。
これまた、個人的にはなんとも心地よい。

ピヤシリスタート地点.jpg

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