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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

良薬は、こころに苦し

アナウンサーという職業は、簡単にいうと、
「自分の身体が商売道具の技術職」
ということになるかと思います。
「口が商売道具ですよね」などと言われることも多いのですが
正確に言うと、口は「発音」のために使うもので、
「音を作る」のは声帯で、「音を外に出す」のは横隔膜で、
「どうしゃべるのか」を考えるのは脳で、
「何をしゃべるか」の材料を集めるのは五感で、
「今しゃべるべきか」を決めるのは反射神経で、
それらが総合的に働いて、
なおかつそれが「技術」と認められることで
この仕事が成り立っています。

...と、改まった言い回しをしてしまいましたが、
普段、そういうことを特別高い意識で考えることは
実はそうはありません。
「ああ、やっぱり身体が商売道具だなあ」と、一番感じる時。
それは、商売道具が、思うように動いてくれないとき。
つまり、体調が思わしくないときに感じることが多いです。
当然、そういうことは、好ましくはありません。
体調は仕事に直結する、自己管理上の最優先事項。
でも、ある程度の無理はしなきゃいけないときもある。
そんなせめぎ合いの中で毎日を過ごすことが求められる仕事です。

ここまで書いたあとで申告するのは恥ずかしいのですが、
先日、声の出が悪くなってしまい、
かすれ気味というか、ダミ声のような状態になってしまいました。
年に一度くらい起きる、持病のような症状なのですが、
タイミングによっては最悪の事態になります。
今回は「Do!ろーかる」のOAで出てしまった
(正確に言うとその日の朝から)ので、
当日ご覧になった方には、お聞き苦しい放送になり
誠に申し訳なく思います。

過去の経験から、重症ではない自覚はあったものの、
当然、一刻も早く治療すべく、
放送後、かかりつけの耳鼻咽喉科へ。
こちらの職業もよく理解していただいている先生なので、
速やかに診察し、治療プランについてやりとりしました。
先)「やはり今回も、いち早く声を直したいわけですよね」
大)「ええ、もちろん。声以外の症状もありますけど、
何より早く改善したいのは声です」
先)「では、その方向でお薬を処方いたします。
ただ、早く声を直すために一番大事なことは...」
大)「一番大事なことは...?」
先)「しゃべらないことですね。
声が治るまで、極力しゃべるのを避けてください。
日常生活で急を要しないことなら、筆談してもいいです
とにかく、しゃべらないのが一番です」

しゃ・べ・ら・な・い...?
それは、人生最大の難題です。
一人でいるときだってしゃべってしまうのに。
家の猫にだって、無意識にしゃべってしまうのに。

「しゃべるなと言われることは、死ねと言われるのと同じです」
若いころ、ネタに使っていた言葉ですが、
いざ本当に「しゃべるな」と言われると、
あながちネタとも言い難い感覚に。

しかし、少しでも早く「商売道具」を元に戻すには
やらなきゃいけない。
さすがに筆談まではしませんが、
自分としては普段の5割ぐらい
「しゃべりたい気持ち」を抑えて、日々を過ごしております。
(周りの人からは、1割ぐらいにしか感じないかもしれませんが)

いやいや。大変。
頂いた薬も苦いのですが、
薬飲む①.jpg薬飲む③.jpg

「しゃべらない」のは、こころに苦い。
しかし、これが良薬であるならば、
飲まなきゃならぬ。
「用量、用法を守り、正しくお使いください」
との但し書きは守れるか自信はありませんが、
いち早く、万全な状態に戻すべく
過ごしたいと思います。

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