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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

夏の王道

前回、前々回と、
夏の盛りのこの時期、
しかも、リオ五輪の開催されているタイミングで
ウィンタースポーツに関する話題を取り上げたが、
夏がシーズンのスポーツも、
その逆に今がオフと思われるスポーツも、
アスリートは常にいろいろなことを考え、
大事に時間を使っていることを
胸に刻んでおきたいという気持ちからで、
決してひねくれた理由からではない。
もちろん、この間に
心に深く残るシーンをいくつも残してくれた
彼らのことを忘れていたわけでは、なかった。

夏の甲子園で準優勝を果たした
北海高校野球部。
「甲子園 準優勝」
なんと甘美な響きだろう。
いいなあ。憧れだよなあ。

8月24日に開かれた報告会を取材した。
体育館に集まった全校生徒の拍手に迎えられ
入場してくるベンチ入りの18人。

入場.jpg

大西主将の持つ準優勝盾がまぶしい。
準優勝盾.jpg

街ですれ違ってもきっと気にかけることがなかった若者たちが、
親戚のように見えてしまう不思議。
これも甲子園がかける魔法だ。

檀上グループショット②.jpg

会の最後に
甲子園で4度流れた校歌を全員で斉唱。

校歌斉唱.jpg

甲子園で校歌を聞く、歌う。
いいよなあ。憧れだよなあ。
30数年前、
高校3年間でかなり校歌は歌った(歌わされた?)けど、
晴れがましい場で歌った記憶はない。
(「全校高校生クイズ」で
後輩たちが優勝したとき、
一人暮らしの家のテレビの前で熱唱したことがあるが、
ハッと我に返って、
恥ずかしさと虚しさに襲われた記憶がある)

様々なスポーツを実況し、
それぞれに等しく魅力があることは強く自覚している。
そうした自覚があるからこそ
特定の競技の、しかも高校生の大会だけ
格段に手厚く取り上げられることに
安易に同調していいのか、
客観的な視点、適切な距離感を持つことが大事だという
気持ちは常に持っている。

しかし、目の前に
「甲子園 準優勝」を示されると、
やっぱり弱い。
自分のスポーツとの関わりの"初期設定"となったのが
小学生時代の高校野球との出会い。
ゆえに
こうした事実を目の当たりにすると、
タマシイの奥底のほうが無条件に揺さぶられてしまう。
日本の夏の王道―
どこかに異論をはさみたくなりつつも、
この言葉に抗えない自分がいる。

すでに話題になっていることだが、
今回の北海高の快進撃の中で目についたのが、
好プレーやタイムリーが出た時でも
ガッツポーズや雄叫びをあげるとか
最近では当たり前のようになっている表現をせず、
どの選手も淡々と、本当に淡々と、という言葉がぴったりの
姿を見せ続けた。
「相手があって野球ができる。
相手への敬意をもってプレーすることは
普段から徹底しているので」
大会中に選手たちから出た言葉を聞き、
勝利の興奮とは少し違う
とても穏やかな気持ちになった。

大西主将.jpg

闘志を内に秘め
淡々としたマウンドさばきで全試合に先発した大西主将。
自らを客観的に見つめられる冷静さが
野球というスポーツでどれほど重要か示してくれた

一方、同時期のリオ五輪では
全てを出し尽くした人間にしか示せない、
渾身のガッツポーズを見て、心が震えた。

それは、自分の中では矛盾していない。
どちらも、スポーツを通じて伝わる人間らしさであり
その姿に優劣はないと思う。
ただ、「夏の甲子園」という時間と場所では、
今回の北海の選手たちの姿が
よく似合った気がした。
これもまた、自分の初期設定によるところが大きいのだろうが。

青空、入道雲、照りつける日差し。
芝の緑、土の茶色、立ち上る土煙。
投げて、打って、走って、
泣いて、笑って、過ぎてゆく2週間。
これぞ、夏の王道。
北海高のみんな、
たっぷり味わわせてくれて、ありがとう。

 

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