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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

若葉の秋

オフシーズンからオンシーズンへ向かう時間は
どんなシーズンスポーツでも胸躍る時期だ。
今年はどんなチームなんだろう、
どんなプレーが見られるんだろう、
終盤、どんな争いをしているんだろう、
想像はときに妄想となり、
その妄想が具体的な「形」になっていく過程の
クライマックスの時期。
映画でいうなら予告編を観て、
舞台挨拶が始まって
「それでは、お楽しみください」といって
主演俳優が舞台から退いていく。
その過程をポップコーンを片手に楽しんでいるようなものか。
...すいません、陳腐なたとえしか浮かびませんでした。

2016年9月。つまり、今月。
日本のバスケットボールは大きく変わる。
これまで二つのトップリーグが存在した
異常な状態が整理され、
かつ、企業チームが混在する中途半端な状態ではなく、
あくまで商品としての
バスケットボールのゲームとプレーを提供する
真のプロリーグ「Bリーグ」が始まる。

時代の到来に先がけること10年。
先がけたからこそ
幾多の茨の道を歩みつづけた
北海道のプロバスケットボールが、
ついに「王道」のレールの上を走る日が近づいている。

シーズンイン前の「恒例行事」を取材に行っても
「新リーグでは...」という枕言葉が
現場のあちこちから聞こえ、
そのたびに、いつものこの時期とは少し違うワクワク感が
周囲からも伝わってくる。

2016-17シーズンを戦うチームの
お披露目となった
8月29日のきたえーるでのプレーズンゲームは
B2・熊本ヴォルターズを招いての
熊本地震支援チャリティーマッチも兼ねた。

熊本PSG③.jpg

温かい雰囲気ながらも
新外国人選手2人が1週間前に合流したばかりで、
チーム作りの仕上げを急ピッチで進める上で緊張感も求められる試合。
「ボールと人が連動し、
特定のスコアラーに依存せずに得点していくオフェンス」
(水野ヘッドコーチ)のコンセプトを
披露する内容となった。
熊本PSG.jpg

今季のチームは、全員で10人という、
ルール上最少の選手数でシーズンに臨む。
「真のプロリーグ」への参入ゆえ
身の丈にあった経営を進めた結果であるが、
先のチームコンセプトは
選手層を補いながらシーズン60試合を戦うための
現実も示している。

この試合で披露されたのは、
10人全員が得点したというスコア以上に
211㎝・117kgのサイズながら
献身的にな動きでオフェンスの流れをよくした
新外国人・ミラーをはじめ、
ミラー1ショット.jpg

(水野HCは「ものすごく賢くて
バスケットIQの高い選手」と絶賛)
全員がしっかり走り、動く、
ここ数年ですっかり板についた
レバンガらしいバスケットだった。

それはいい。だが、何かが足りない。
そうだ、この日選手たちが身に着けていたのは
黒の「練習用ウェア」。
やっぱり、新しいことが始まるときには
外見から変わらなくちゃ。

...と思った4日後の9月2日。
新リーグ元年を戦うチームユニホームが披露された。
(モデルは新主将の多嶋朝飛選手)
新ユニ多嶋.jpg

一度は消滅の危機を乗り越え、
現在の「レバンガ北海道」として再生の道を歩みだした、
2011-12シーズンに採用された
グリーンが復活。
「あの頃の、経営的にもチームの戦いでも苦しかったことが
いろいろと思い出されました。
Bリーグの始まりに身にまとうにはふさわしいと思い
この色にしました」
選手兼社長の折茂武彦(右)は、あえて軽い口調で、そう言った。

折茂ミズノ次長会見.jpg

当時のことを、こちらも思い出した。
北海道のバスケットの灯が大きく揺らいだ時間が
確かにあった。
スポーツは人を明るくするものなのに、
現場に行くだけで気が重くなる
およそスポーツ取材の空気とは異なる時間が
そこにはあった。
そんなときに目にした
明るいグリーンのユニホームに
「若葉」のイメージを重ねていた。
暗い土の中から懸命に芽を出し、
もがくように幹を、枝を伸ばし、
ようやく開いた、瑞々しい若葉。
それはいつか一本の木を豊かに茂らせ、
やがて林になり、森になり、
幾多の生命が暮らす場所になる。
そんな夢を抱いていた。
後ろ向きになりそうな気持ちに懸命に頭(かぶり)を振り、
務めて前向きに抱いたイメージ。
その象徴が、この明るいグリーンだった。

ときは流れ、今、このグリーンを目にすると
確かに若葉は茂り、
豊かな緑が広がったと実感する。
まだまだ、森になるのはこれからだけど、
人が集い、
バスケットボールの楽しみを享受する空間は
確実に広がった。

季節は、秋へ。
...まだまだ残暑が続く、おまけはついているけど。
秋に広がる、若葉。
なかなか味わい深い。
新たなプロリーグが、私たちをもっと楽しませてくれることを。
「いいリーグが始まったなあ」と記憶に刻まれる
象徴のグリーンであることを祈って、
10月9日の、ホーム開幕戦を迎えたい。

新ユニ.jpg

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