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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

家で過ごす 年越しのお伴に

どうせいつもと違う経験をするなら

より心豊かな時間にしたいですね。

"ステイホーム"な年末年始を

「読書に浸って過ごそう」とお考えの方に

参考になればという一冊をご紹介します。

   

「無名の開幕投手」(桜山社)

本手持ち②.jpg

  

実在した一人の元プロ野球選手の生涯を

その方が生きた折々の時代の

野球事情や世相とともに

丹念に描いたノンフィクションです。

佐藤さん本アップ.jpg

   

主人公の名は、滝良彦(たき・よしひこ)。

知っている、という方は相当な、

本当に「博士」クラスの野球通です。

1954年から3年間だけ存在したプロ野球チーム、

高橋ユニオンズ(1955年はトンボユニオンズ)で

設立初年の開幕投手にして

球団史上最多の31勝をマークした

技巧派の右サイドスロー。

(他に毎日、大毎、大映に在籍。通算8年で44勝63敗)

...ということを、この本で私も初めて知りました。

   

滝さんは愛知県にある、南山大学出身の

唯一のプロ野球選手でもあります。

名古屋時代の12年、この大学の割と近くに住んでいて

親しみのある大学でしたが

プロ野球選手を輩出していることも、この本で初めて知りました。

   

著者は中京テレビのアナウンサー、

佐藤啓(はじめ)さん。

私の前職の先輩です。

   

全国ネットの情報番組でともに東海地区担当のキャスターを務め

後から加わった私は佐藤さんの背中を追いながら

日々の生放送に必死に食らいついていきました。

大きな失敗をやらかして

この世の終わりのように落ち込んでいる私を

慰め、励ましてくれました。

   

何より深く思い出に残っているのは

プロ野球やボクシングのスポーツ中継で

同じ時間を過ごしたこと。

スポーツを、アスリートをリスペクトし、

その魅力をどんな小さなことでも丹念に探し出し

最適な言葉に紡いで実況にしていく姿勢を間近で見て

多くのものを吸収させていただきました。

取材の心構えや実況における表現方法、

さらには、スポーツへの向き合い方という点で

大きな影響を与えてくれた方です。

   

そんな佐藤さんが、母校・南山大学

(実際はその前身である「名古屋外国語専門学校」)出身の

滝さんの存在を知り

ご本人との交流―実に濃密で、温かみがある―を通じて

取材、調査を積み上げて書き上げた労作です。

   

1929(昭和4)年に生まれ、

2017年に87歳で亡くなった滝さん。

戦前、戦中、戦後を生きた

そのダイナミックな人生を通じて

(特に、滝さんはじめ多くの野球人の方々の実際の話を通じて)

日本における野球というスポーツの歩みと

野球というスポーツの持つ深みを味わえました。

   

また個人的には、

愛知県の様々な地名が出てくるたびに

名古屋時代の自分の思い出が浮かんで

甘く切ない気持ちも味わえました。

自分史を振り返る体験ができ、

これからの人生の指針を探る機会にも

なった気がしています。

   

テーマも、内容も、はっきり言ってかなりマニアックですが

その分、読み手のキャパシティで

様々な楽しみ方ができると思います。

思わぬ形で心に刺さるかも知れませんよ。

  

そうそう、読書といえば

こんな本もあります。

2019年春の本ですが...

100倍②.jpg2019開幕戦④.jpg

https://www.tv-hokkaido.co.jp/announcer/daito/2019/04/post-205.html   

  

佐藤さんの実況も紹介しています。

まあ、佐藤さんの本がメインデッシュだとすれば

こちらは箸休めですけど

よろしければ、こちらも年越しのおともに

いかがでしょう。

   

静かだけど 充実した年越しをお迎えください。