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- 2019. 9. 6 放送
- 震災から1年㊦ 復興へ動く被災地
胆振東部地震から1年。特集の2回目です。親族を失った農家や町の移住者が再起に向けて前を向く姿を取材しました。
「去年は9月6日で時がストップしてしまった。ようやく今日から時間がスタートするのかな」。町内のコメ農家山本隆司さん。去年の地震で13ヘクタールの水田のうち3ヘクタールが土砂に埋まりました。農機の大半も使えなくなりましたが、国の支援金などを使って何とか今年の営農にこぎつけました。しかし今年、水田には父や母、妹の姿はありません。「亡くなった両親に見せたかったというか。あの世で見ててくれればよいなと、やはり感無量な感じはある」(山本さん)。今は、町のみなし仮設住宅で1人で暮らしながら水田に通っています。間もなくひとりきりでの収穫が始まります。「父の作ってきた酒米を継続して震災後も店頭に並べることができそうなので、少しは(父達も)喜んでいるのではと思う」と山本さんは話します。
移住政策に取り組む厚真は多くの町が人口減少に悩むなかで地震の前の年は人口がわずかに増えていました。移住者の一人、村上紗希さん。「8月20日火曜日時刻はお昼の12時を回りました。こちらは臨時災害放送局あつま災害エフエムです」(村上さんの放送でのアナウンス)。去年4月に移住し、役場の災害エフエムでDJをしています。地震後、恵庭の家族からは帰ってくるように言われたといいます。「自分ひとりだけ離れるという選択肢はなかった」(村上さん)。まちの魅力を発信するライターとしても活動する村上さん。去年7月からは町の中心部に厚真産のコメや野菜を使ったカレー店を毎週1回開いています。食材は、農家に足を運んで自ら確認します。
町が生産量日本一を誇るハスカップ。仕入先の農家は畑が土砂に埋まる被害にあいました。「このピンク色は山口農園さんというハスカップの第一人者の農園の人がやっていて、そのハスカップを使って漬けています」(村上さん)。店のお客さんは「おいしいです。うまいです。すごく凝った味付けだね。辛味があとでピリッとくる」と感想を話してくれました。村上さんは外からの目線でこれからも町の情報を発信したいと話します。「震災があった町とか、土砂崩れがあった町というのではなく、こんなカレーがあるんだとか、こういうプラスの情報を発信していけるかなと」(村上さん)
胆振東部地震から1年の話題はあす午前11時からのけいナビでも詳しくお伝えします。