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2011.3.16
再会

みな、相応に年をとり、

各地に根を下ろし、生活し、

それ故に深く傷つき、悲しみ、不安を抱え、

そして、その感情に引きずられることなく、

必死に、自分の仕事をこなしている。

 

日本各地にいる

かつて、ともに仕事をした仲間や後輩、

あるいは

20年以上前、ともにアナウンサーを目指して

切磋琢磨した学生時代の“戦友”。

そんな彼らに、ここ1週間、画面を通じて会っている。

「被災地からの報告」という形で。

 

全国高校サッカーの中継をともにしたとき

「そこに生活する人々の姿、生き様が

ピッチに表現されるのがサッカーだ。

個人の技術やチームの戦術、単なる勝ち負けを伝えるだけではなく、

そこに住んでいる人々の心も表現するような実況にしよう」と誓い合い、

放送直前ギリギリまで細かな情報を交換した彼。

親族の自慢話をするような、温かみに満ちた表情だった。

 

全国を結んでの生中継番組をしている頃、

「あなた方は、この番組ではアナウンサーではない。

地域に生きる人々の生きている姿の“伝え手”だ。

アナウンサーという職業の枠でとらえないでください」

という言葉を胸に刻み、

リポート合戦を繰り広げた彼。

「あいつには負けないぞ」という思いは

「あいつのところより、こっちのほうが素敵だぞ」

と同義だった。

 

本当にアナウンサーになれるのだろうか。

不安にさいなまれながら、同じ電車で地方の試験会場に向かい、

互いに脂汗をかいた試験の後、

彼は車中で将来の夢を語った。

「もし受かったら、俺はこの土地で、こんな放送をしたい」

風呂敷は、とどまることなく広がっていた。

 

画面を通じての、彼らとの「再会」。

放送人として、当然、起こりうることではあった。

ただ本当は、こんな形ではなく

互いに笑顔で会いたかった。

 

彼らに会うたび

人の痛みや苦しみ、悲しみに、思いを馳せる。

その想像力が、自分の中で求められていると強く思う。

 

どうか、身体を壊さぬように。

次は、笑顔で再会したいです。