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2013.12.26
「伝える」楽しさへようこそ、そしてありがとう

何かとせわしない年の瀬。
目の前のことに流されがちなこの時期に
今年も、自分の仕事を見つめなおす
大切な機会をいただきました。

TVhのお隣にある中央小学校のミニ児童会館が
絵本の朗読の催しを行うことになり、
昨年に続き、
そのお手伝いをさせていただいたのです。

絵本といっても、素材はDVD。
チルビーの「動く絵本」を使います。
ということは、読み手のタイミングで話が進むのではなく
読み手が映像に合わせていかなくてはいけない。
これは、朗読としては結構難しい作業。
テレビのアナウンサーにとっては
日常的な仕事ではあるのですが、
だからこそ、難しさは身に染みてわかります。

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品は「りんごがひとつ」(作・絵/ふくだすぐる)
使われている言葉は決して多くはないですが、
それだけに、細やかな表現の違いで
印象がかなり変わる、なかなか奥の深い絵本です。

高学年の女の子2人のチャレンジに、
本番に向け、2回の練習をしました。
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ず1回目。
最初に伝えたのは2つ。
ひとつは、じょうずに読もうと思わないこと。
もう一つは、テストのように、
正解とか間違いのあるものとは思わないこと。

じょうずに読もうとか、正解の読み方をしようとすると
書いてあ文字を追いかけてしまって、
語りかけるようには聞こえないよ。
それから、できる限り一人で読むのではなく、
誰かに聞いてもらうこと。
「こうやったら伝わるかなあ」って考えて、
自分なりに工夫して、読んでみて、
聞き手に感想を聞いてみる。
聞いているほうは「こんな感じ」とか
「あそこはこうしてみたら」とか
自分の感想を伝える。
これを繰り返していって、
「より伝わる」読み方を考えていってね。

そこから、音の高い低い、スピードの速い遅い、
ちょっと間をあけてみる、など、
具体的な語り方の工夫を実際にやってみました。

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柔軟な頭と、まっすぐな気持ちの力は素晴らしい。
1度のヒントで、10ぐらいのイメージが
声になってあふれていきます。

1週間後。
彼女たちの台本には
蛍光ペンや赤のペンのたくさんの書き込みが。
読み聞かせというものに
きちんと向き合ってくれたことに感激しつつ、
次なるステップに挑戦。

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文や言葉の「語尾」の表現を意識してみよう。
音を「伸ばす」か、「止める」か。
「落とす」か、「上げる」」か。
日本語は、文の最後で意味が決まるルールのことば。
だから、最後の音は、聞き手の耳にすごく残る。
そこの部分の工夫は、語りの幅を広げます。

続いて、
登場人物の感情を表してみよう。
怒っているライオンやぞうのセリフをどう読もう?
追い詰められているさるの気持ちをどう言おう?
難しい課題に
まっすぐに向き合う姿、
そしてその成果が具体的な音となって
教室に響くのを感じて、
言葉でものを表現することの楽しさを
こちらが呼び起されます。

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先週の土曜日の本番は
こちらも生放送中だったので
聞きには行けなかったのですが、
「しっかり、落ち着いてやってましたよ」と
報告をいただきました。

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本番の緊張感と、
聞き手のこころが
自分の言葉で動いたと感じたときの喜び、
そしてそのときを迎えるまでに、
あれこれ工夫をし、
それを声に出しているときに感じる
くすぐったいような楽しさ。
その感覚を少しでも
身体の中に残してもらいたいと思います。

これからの時代を生きる君たちには
「発信力」は、とても大切なものだと思います。
技術としての発信力ではなく、
相手のこころを思い、
発信そのものを自分自身が楽しめる
そんな未来の力につながれば
おじさんはうれしく思いますし、
おじさんも、その気持ちを持ち続けたいと思っています。