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2014.7.23
旧き朋からの一冊

先日、一冊の本が送られてきました。
送り主の名前を思い出すのに時間がかかりました。
30年近く前、大学時代に入っていた寮で
一緒だった人でした。
卒業後、出版社に入社し、
今回、北海道に関連した本を出したので、
送ったということでした。
まず、はるか昔の記憶の中に
自分のことが留まっていて、
思い出してくれたことに感謝し、
ページをめくることにしました。

その本のタイトルは
「わさびちゃんちの一味ちゃん」(小学館)

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愛らしい子猫が表紙、そしてこのタイトル。
柄ではない。
こんな機会がなければ、手に取る機会もなかったかも知れない。
それが第一印象でした。

浅学で知らなかったのですが、
その本は11万部を超えるベストセラーとなった
ある本の続編でした。
道路でカラスに襲われ大怪我を負っているところを
「父さん」「母さん」に救われた
札幌生まれの元野良の子猫、わさびちゃん。
父さん、母さん、犬のぽんずちゃんなど
家族の愛情に支えられて懸命に生き
87日間という短い生涯を終えたわさびちゃんの物語、
「ありがとう、わさびちゃん」(小学館)の、
次なるお話です。

わさびちゃん亡きあと
野良猫たちの保護や里親探し活動を行っていた
わさびちゃんファミリーに
新しい仲間が増えていました。
保健所行き寸前だった5匹の子猫を保護したファミリーは
子猫たちの里親探し、母猫の避妊手術の手配をした上で
1匹を新しい家族として迎え入れ、
「一味ちゃん」と名付けました。
一味ちゃんの成長の記録と
不幸な猫を増やさないため
保護された野良猫たちや
地域の人々が避妊・去勢して面倒をみる

地域猫たちの全国の現状なども報告されているのが
「わさびちゃんちの一味ちゃん」なのです。

このジャンルの本は、正直ほとんど読んだことがありませんし、
読むのが怖いというか、
読む勇気がなかなか湧かずにいた分野です。
「敬遠」という表現が近いかも知れません。
古き友から送られたものでなければ、
ページを開くことをためらっていたと思います。

我が家にも、2匹の猫がいます。
「匹」という数え方をすることに違和感があります。
気持ちは、「2人の猫」です。
いるのが当たり前の家族の一員…
というより、気づけば家族の中心で、
彼、彼女を軸に
日々の暮らしが進んでいると感じることも
少なくありません。
ただ、彼らの生命は、私たち人間のそれより
早く終わる可能性が高いという現実が
時折頭をよぎると、
とても切ない気持ちに襲われます。

動物と生きることの幸福と
逃れられない宿命が
糾える縄のように心に浮かぶのです。
それが、この分野の本を読むことへの
ためらいにつながっていた面も少なからずありました。

読後―。
まず、かわいいものは、かわいい。
理屈なんかいらない。
その上で、
現実から目をそらしてはいけない。
素直にそう思いました。

 限りある生命と向き合う―。
何かと理由をつけて避けようとする
今までの自らの弱さを自覚する機会となりました。

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『朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや』
高校の頃習った「論語」の一節が思い出されました。
今回来たのは、朋が編した本でしたが、
亦た楽しく、こころが清々しくなる出来事でした。