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2016.5.17
微睡(まどろみ)の終わり

朝が来ているのがわかっていて
起きる時刻が近づいているのがわかっていて
夢の続きを見ているときほど、
心地よい時間はない。

9年分の心地よいまどろみを
楽しんだつもりだった。
日本の男子バスケットボールのトップリーグ、
NBLに挑むこと9年(前身のチーム含む)。
北海道のプロバスケットボールクラブ、
レバンガ北海道が初めて到達した、プレーオフ。
55試合に及ぶレギュラーシーズンで上位となったものだけが
進むことのできる、ポストシーズンの舞台。

進出が確定した4月3日から
プレーオフ初戦の5月14日までの
およそ40日間は、
「悪夢」の方が多いこれまでのチームの歩みを見てきたものとしては
「まどろみ」のような時間だった。
電気も水道も止まった、
廃校になった高校の体育館で練習していたチームが、
経営危機からリーグから除名処分を受け
消滅の危機に瀕したこともあるチームが、
潤沢な運営資金を持つ企業チームの壁に
幾度となく跳ね返されたチームが、
「頂上決戦」の場に立ち、誇らしくプレーする。
その姿を想像するのは、
まさにまどろみに似た時間だった。

でも、まどろみは、必ず終わる。
終焉の際に得たのは
「パブリックビューイング」の司会進行という役割。
現地から送られてくる試合のライブ映像を見ながら、
解説役の人と実況していく役目。
仕事ではない。
運営会社から依頼されたボランティアだ。
目覚めの前のラストシーンにふさわしいじゃないか。

PV全景.jpg

仕事でなかったことで油断し、画像を取り損なってしまいました。
会場の雰囲気はこんな感じです。
(撮影:北海道バスケットボールクラブ)

PV遠景.jpgこんな感じでスクリーンを見ながらライブ実況してました。

2戦目の解説をしてくれたのは
札幌大学男子バスケットボール部の
町田洋介HC。
PVアップ.jpg

左側が町田コーチ。顔が認識できないぼやけた画像ですいません。
190センチの長身でかなりのイケメンです。

今回のPOの対戦相手・東芝でもプレー経験があり、
現役最後に在籍したリンク栃木では
リーグチャンピオンのメンバーになった。

「頂上決戦」の現実を知る方との進行は
目の前の画面で繰り広げられるプレーの重みを実感できる
とても貴重な時間だった。

結果は、皆さんご存知の通り、
連敗でセミファイナル出場はならず。
初のプレーオフは、2連敗で幕を閉じた。

西川②.jpg

(撮影:北海道バスケットボールクラブ)

イベント終了後、抜け殻のような状態の中で
町田コーチの話が耳に残っている。
「シーズンを通じて戦いを見させていただきましたが、
レバンガは本当に頑張ったと思います。
正直、戦力は限られている中、
勝つ確率を高める戦い方を突き詰めて、
激しく、粘り強いディフェンスでロースコアの展開に持っていき、
接戦を制していく戦いで結果を出した。
バスケットって、たくさん点が入るイメージがあるので、
観に来ているファンの中には、
華やかさに欠ける印象を持った人もいるかも知れませんが、
こういう戦い方も、バスケットの真実というか、
魅力の一部です。
そういう面を、シーズンを通じて見せたことで、
ファンの方々の、試合の見方の幅が広がるとすれば、
それもまた、成果といえると思います」

「プロバスケットのチームがすぐ近くにあって、
いろんな形で交流する機会もある。
地元のプロチームに選手を送り出すという目標も
持っていかなければいけない環境にあるので、
大学の指導者として、すごく刺激を受けます」

そう言って、
町田コーチは練習へと向かっていった。
「ああ、種は蒔かれていたんだなあ」と
実感したひとときだった。

まどろみは、心地いい。
それから覚めて、新しい一日を始めるときは、
エネルギーもいるし、ちょっとしんどい。
でも、そこから始まった現実の一日が
充実したものだったと感じたときの喜びは
まどろみに勝る。
なぜなら、自分で考え、
汗を流したという、確かな実感があるからだ。

9年をかけてのプレーオフという、まどろみは終わり、
バスケット新時代、B・LEAGUEに向けた
新しい朝が始まった。
蒔かれた種に、水をやり、肥料をやり、
雑草をこまめに取りながら、
大樹を育てる新たな1日1日を
重ねることになる。