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2017.1.21
"アンビシャス"に寄せて

今月16日、
ファイターズの今季のスローガン発表に行ってきた。
去年も取材し、このブログに書いたら

http://www.tv-hokkaido.co.jp/announcer/daito/2016/01/post-116.html
10年ぶりの日本一という結果になったので、
ゲン担ぎの思いも込めて。

既にご存知の方も多いと思うが
今季のスローガンは「F-AMBITIOUS」(ファンビシャス)。
スローガン②.jpg

かのクラーク博士が「Boys, be ambitious」の名言を残してから
今年で140年ということにもちなみ、
ファイターズとファンの頭文字「F」を組み合わせてた造語。
そこには
「力ではなくて、中身が世界一の球団になりたい。
ファンも私たちも、
そこに志を置いていきたいという思いを込めた」
(栗山監督)ということだ。

スローガン①.jpg

クラーク博士が札幌農学校時代に残した言葉で
「Boys,be ambitious」はあまりに有名だが、
実は「Be Gentleman」(=紳士たれ)
という言葉も残していて、
実際には、こちらのほうが
クラーク博士の哲学や信念を
より明確に示したものであったようである。

栗山監督はこの言葉にも触れながら、
こんなエピソードを披露した。
「スポーツキャスター時代、
メジャーリーグのトップ選手と話す機会があり、
『メジャーとマイナーの一番の違いはどこにあるのか』と質問したら
こんな答えが返ってきたんだ。
『子どもたちに尊敬される振る舞いができるのが
メジャーのプレーヤーさ』。
それって、ジェントルマンっていうことだよね。
中身が世界一の球団を目指していくって
そういうことだと思う。
普段の生活の立ち振る舞いも含めて、
更に前に進んでいくことを目指す。
そのためには、志って大事。
志がないと、人間って頑張れないものだよね」

この話を聞いたとき、今月11日の
「ゆうがたサテライト 道新ニュース」で紹介した
ソフトバンクに2位指名で入団した

幕別町出身の古谷優人投手の姿が浮かんだ。

古谷キャッチボール②.jpg

彼がプロになるにあたって立てた誓いの言葉は
「世の為 人の為」。

グラブの文字②.jpg

これから、生き馬の目を抜くプロ野球の世界に飛び込んでいく
若者が掲げる目標としては
少し風変りに映る人もいるだろう。

古谷投手には、8歳下の妹がいる。
先天性の脳障害があり、
現在も身体の一部がやや不自由で
言語障害なども残るという。
生まれたばかりの頃は
「歩行や会話は難しいかもしれない」と言われた。

そんな妹は、兄がプレーする球場に足を運び、
いつも応援してくれた。

彼は、中3で野球部をいったん引退した際、
病院での妹のリハビリを手伝った。
そこで、障がいと闘う多くの人の姿を目にしたことが、
高校での進化の源となったという。
「好きなことをしたくても様々な理由で
できない人もいる。
自分は好きな野球が思う存分できているのだから、
そんな人たちに野球で力を与えたいという気持ちが
強くなりました」

そして、こう考えるようになった。
「妹の存在があって、ここまで人間として成長できた。
プロ野球選手になれたのは、妹のおかげなので、
これからは何らかの形で返していきたい」
古谷顔アップ③.jpg

それが、「世の為 人の為」という意思表示の背景である。

多くのトップアスリートは、
社会福祉活動を自らの活動の重要な柱と位置付けているが、
まだプロで一球も投げていなくとも、
「子どもたちに尊敬される振る舞い」という意味では
プロフェッショナルとして必要なものは、既に備えている。

志=ambitiousはもう抱いているし、
その姿は、Gentlemaである。
あとは、志に相応の実力をつけ、示すのみ。
そこが一番難しいことではあるけれど、
いつの日か、かなえて欲しいと思わせる青年である。
皆さんも、彼―古谷優人の名を
心に留めておいていただければ幸いです。

 古谷キャッチボール③.jpg