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2017.11. 6
血が騒ぐ

誰しもあると思う。

未熟ゆえに感受性もひときわ強い若造のころ、

見ること、触れること全てが

己の血となり肉となったと、自覚できる時間が。

   

そのときに味わった強烈な「熱」は、

歳月を経る中で、身体の奥深くにしまい込まれ

普段は無自覚な時間が過ぎているのだけれど

あるきっかけで、猛烈なスピードで

意識の前面にあふれてくる。

そうした体験を、おそらく「血が騒ぐ」というのだろう。

   

そんな体験を久々にした。

「ゆうがたサテライト道新ニュース」

10月30日放送の「スポーツチェック」は

プロボクシングの話題。

   

前日の29日に札幌で行われた

「DANGAN 199in札幌」に

最多の4選手を出場させた、

北海道畠山ボクシングジムを紹介した。

   

ジムの名前を聞いて「ピン」とくる人は

なかなかのボクシングフリークかと。

会長を務めるのは、

北海道のジムの選手として初めて日本王者になった、

畠山昌人さん。

会長ミット打ち.jpg

99年6月のデビュー戦から最後の試合までの20戦で

地元での試合は、ただ一度。

常に津軽海峡を越えての「アウェー」の戦いを余儀なくされながら、

旺盛なスタミナを武器に攻め続けるスタイルで

2002年に日本ライトフライ級タイトルを奪取し

4度の防衛に成功。

退けた相手の中には、後の世界王者もいた

しかし「次は世界」の期待が高まった矢先に、

右目網膜剥離が発覚し、無念の引退。

    

輝きは長くはなかったが

当時のボクシングシーンに強いインパクトを残し、

北海道のボクシングの可能性を示した選手だった。

会長と2ショット②.jpg

   

現役時代所属したジムでのトレーナーなどを経て、

3年前、自らのジムを設立。

今年6月の札幌での興行でプロ選手をデビューさせ、

今回が2度目の参加となる

   

試合直前にも関わらず、快く取材の申し出にじてくれ

ジムの扉を開けると、その感覚は訪れた。

血が騒ぐ―。

ほとばしる汗の輝きと、その匂い。

ロープを跳ぶ、サンドバッグを叩く、

そしてミットを打ち抜くときに響く音。

ジム全体に醸し出される、活気と緊張感。

視覚、聴覚、嗅覚、そして全身で感じるたびに

波のように押し寄せる高揚感。

会長と2ショット③.jpg

  

それらはみな、

20代から30代前半にかけ

ボクシング中継に「心血を注いだ」日々の中で

身体にしみこんだもの。

そしてあの時間の中で、のたうちまわりながら身に着けたものが

今の自分を「芯」となっている。

それは、ゆるぎない事実。

そして、そう確信できる、幸運と幸福。

   

29日に行われた試合も

「血が騒ぐ」熱戦の連続だった。

試合会場ロング.jpg

会場に漂う、凛とした緊張感と沸き立つような熱気。

ダウンシーンのときの

割れんばかりの歓声と凍りつくような沈黙の錯綜。

東試合②.jpg東勝利.jpg

この体験を、

札幌で、北海道ですることができたの

何よりうれしい。

会長セコンド②.jpg

会長リング下.jpg

会長セコンド①.jpg

畠山会長の目標は

自身と同じ「北海道から日本王者」を生むこと、

自身が果たせなかった「北海道から世界王者を」生むこと、

そしてもう一つは、新たな挑戦である

「ボクシングが、より身近に楽しめる北海道づくり」だ。

厳しく己を鍛えるのもあり。

気軽に体を動かす、スポーツとしてのボクシングもあり。

観戦するスポーツとして、頻繁に試合に触れられるのもあり。

様々な目的や楽しみ方で、

ボクシングに触れる機会を増やしたい。

それが、畠山会長が抱く目標だという。

  

自分が名古屋で味わったあの「血が騒ぐ」経験。

いつの日か、北海道で、

あの経験を、多くの人が享受できる日が来ることを。

それは畠山会長の、

そしてボクシングに人生で大切なものをたくさん教えてもらった

自分の夢でもある。