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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

会社魂のたましい⑮ タックカメラサービスセンター(札幌市)

「手先が器用」

そう評される人への憧れと、軽い嫉妬心を

子どものころから抱いてきた。

もう使わなくなった古い機械を

「好きに分解していいよ」と言われて渡され、

喜び勇んで臨むものの

いつしか、思うように動かない自分の手先に

集中力が削がれ、

気づけばむなしい気持ちで

油のついた手を見つめている。

そのとき、自分の将来の職業から

一つの選択肢が消えたと知る。

その記憶は、未だに残っている。

 

カメラ修理一筋60余年の

川上卓也社長。

生来の機械いじり好きを天職にしようと

中学卒業とともに

故郷帯広を離れ、札幌でカメラ修理の修行に出る。

「仕事は見て覚えろ」

典型的な昔気質の職人の師匠のもとで、

辛酸をなめる体験もしばしば。

 

そんな日々を経て独立するも

師匠の「縄張り」を荒らすわけにはいかず

道内を車で周る「出張修理」で

顧客獲得を目指した。

高級品だったカメラを

そう簡単に

初対面の修理人に預けてもらえなかった。

「『数日かかると思うので、持ち帰って修理します』

と言おうとしたら、

『今、この場で分解して目の前で修理しろ』と。

信頼を得るには断れないと、

肚をくくってやりましたよ」

 

さらにカメラ修理は

メーカーとのつながりが重視される業種。

自分より腕がよくない、メーカー出身の修理人が

部品を優先的に回してもらう一方、

「私のところには、

メーカーの社員が身分をかくして、

こっそり自社の故障品を持ってきて

修理を依頼してきた。

メーカー上がりじゃない奴の技術は

テストしなけりゃ信用できない、というわけですよ。

下に見られていると感じて

悔しかったです」という日々。

 

しかし、

「腕はうそをつかないですからね」

「たたき上げ」の技術を羅針盤に

荒波を航海し

確固たる地位を築いていく。

 

社長室の横には

約5000台のカメラが並ぶ部屋がある。

マニア垂涎のコレクションだが、

そのほとんどは

川上社長自身が修理経験のあるものであり、

「もし修理にもちこまれても

今は生産していないカメラなので交換部品がない。

そのときのための、部品のストックという意味があるんです」

あくまで「現役の修理職人」という

立ち位置を崩さない。

 

「2000以上の部品が整然と組み込まれている

特別な世界」であるフィルムカメラ。

しかし、現代はデジタルカメラの時代。

時代とともの新たな製品が開発され

それに合わせた技術や事業展開が求められるのは

世の宿命。

 

11人の従業員を抱える経営者である川上社長は

「技術で、きちんと生活のできる職人を育て、

生活のできる環境を作ることが大切」という。

「腕があるけどそれが時代にあってないもので

仕事にならないようじゃ食えませんから。

時代の中で生き残るためのことを

しっかりと選んでいくこともやっていかないと」

そのために必要なのは

「もちろん、信頼を得る、技術を持ってることですよ」

 

北のカメラ職人集団、

タックカメラサービスセンターの会社魂は

4月7日の「けいざいナビ北海道」で。

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