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2020.5. 4
読書の春

「外出しない」ことを、

窮屈な時間ではなく、

脳に快感を注入する豊かなものにする。

それならやっぱり、読書でしょ。

...というタイミングで幸運にも手にできた新著など、

魅惑を誘う著書を紹介します。

   

まずは、今年3月26日発売された

「折茂武彦 弧を描く」(佐藤大吾著・北海道新聞社)

弧を描く①.jpg

49歳まで国内随一のシューターとして君臨し

今シーズン限りで現役を引退した

日本バスケットボール界のレジェンド、

レバンガ北海道・折茂武彦さん

(引退したので「選手」ではなく「さん」)

これまでの歩みを記した一冊。

   弧を描く③.jpg

一人のアスリートの軌跡を描いた、にとどまらず

知れば知るほど不思議な魅力(もちろん、いい意味で)に満ちた

人間・折茂武彦の姿も盛り込まれています。

   

著者の佐藤大吾さんは

折茂選手が縁もゆかりもない北海道にやってきた

北海道のプロバスケットボール黎明期

~であるがゆえに、波乱と混乱に満ちた日々~

から取材を重ねてきた記者で、

しばしば現場をともにしてきている、旧知の仲の方です。

当時の空気感や、その場に渦巻いた感情がよみがえる

生々しいエピソードもふんだんに盛り込まれ

いろいろこみ上げるものがありました。

   

タイトルの「弧を描く」とはもちろん、

折茂選手の代名詞である

正確無比なシュートの軌道を表していますが、

それだけではなく

高く飛び、頂に届き、やがて落下して、地に戻る、

成功と失敗、栄光と挫折、希望と失意を繰り返す

人の生き様を象徴していると思います。

そして折茂さんの描く「生き様の弧」は、

とても鮮やかで、私たちを魅了する曲線です。

    

現役最後のシーズンが途中で打ち切られるという

これまた予期せぬ波乱で終わりましたが

これもまた、折茂さんが描いた、

誰も真似のできない「弧」の軌道なのだと実感します。

    

バスケットボールに詳しくない方でも

入り込んで読める一冊です。

   

続いては、

4月14日発売、「プロ野球の誕生Ⅱ~リーグ元年の万華鏡」(彩流社)※画像右

2月5日に出た「プロ野球の誕生 迫りくる戦時体制と職業野球」(同社)※同・左

とセットでご紹介します。

プロ野球の誕生③.jpg

   

著者は、愛知県在住の

中西満貴典(なかにし・みきのり)さん。

この2冊の他にも、日本プロ野球の誕生にまつわる著作があり、

さらに専門はレトリック批評、記号論で

そちらの分野の著作もある(どんな内容かはさっぱりわかりません)という

多才な方だそうです。

   

...「だそう」と推定表現をしたのは

実は中西さんと面識はありません。

   

ただ縁あって、今回の執筆の過程で生じた

ある調べもののお手伝いを、

ほん少し、させていただきました。

これまでプロ野球に関わる仕事をしてきた縁、

かつて名古屋に住んでいた縁、

そのときに紡いだ、人の縁、

それらの細い細い糸を手繰り寄せていく中で

すべてがつながって実現した、

本当に「縁あって」としかいいようのない

それ自体が短編小説であるかのような出来事で

とても心地よい体験でした。

プロ野球の誕生②.jpg

   

中西さんの、

史実に忠実に、丹念に事実をつづることへの情熱と

その背景となる、日本のプロ野球の創成期を切り開いた

先人たちへの敬意が凝縮しています。

じっくり腰を据えて読みたい力作です。

   

ここからは「ついで」です。

   

これらの力作たちの傍らに置いていただき

メインのごちそうの箸休め程度で結構なので

読んでいただければうれしいなと思っているのが

100倍①.jpg

   

拙著「スポーツ実況を100倍楽しむ方法」

去年3月の発売当時、こんなことを書きました↓

https://www.tv-hokkaido.co.jp/announcer/daito/2019/04/post-205.htm

手前味噌な感じが全開なので恐縮なのですが

中継を通じたスポーツの熱気と感動を

味わいたくても味わえない方々に、

「そのとき」が帰って来たときに

ほんの少し楽しみ方が増えるお手伝いになれば

幸い至極に存じます。

    

ほんとうに、いつの日か戻ってくる

「そのとき」を待ちわびて

今は想像力を鍛えましょう。