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2019.09.07 放送
特 集復興ってなんだ⑥地震から1年 移住者の思い

Still0904_00001.jpg今週のMCは鈴木ちなみさん。
コメンテーターは北海道大学大学院経済学研究院の平本教授。
今回はシリーズで伝えている「復興ってなんだ」の第6弾。
胆振東部地震(北海道地震)から1年が経つ。
最大震度7を観測し、大きな被害を出した厚真町を取材した。





Still0904_00002.jpg復旧工事が続き、今も土砂や潰された家屋が残る吉野地区。復旧・復興への道のりが、まだこれからであることが伺える。吉野地区の隣に位置する富里地区。以前この番組でも取材した、コメ農家の佐藤泰夫さん。ななつぼしや酒米「彗星」を栽培している。彗星は地酒「美苫(びせん)」の原料だ。





Still0904_00003.jpg地震による土砂崩れで、水田は壊滅的な被害を受けた。自宅は半壊で住むことができず、両親と妻、三男の家族5人で、今も仮設住宅に暮らす。唯一残されたのが、酒米。何とか収穫し、酒蔵に納めることができた。先月、佐藤さんを訪ねると、酒米に加え、地震で犠牲となったいとこ、正芳さんから受け継いだ水田も、青々とした景色が戻っていた。




Still0904_00028.jpg「あちこちから人を呼び集め、何とか水を通した。今のところ順調」と話す佐藤さん。しかし、副収入となっていたホウレンソウのビニールハウスが、復旧用道路に。年間150万円の収入を失った。加えて、稲刈り機の購入など、補助金を除いた数百万円の負担が、重くのしかかる。





Still0904_00006.jpg地震による死者は、災害関連死も含めて44人。住宅の被害は全壊・半壊合わせて2,129棟で、今も855人が仮設住宅で暮らしている。人口減の問題も。地震の被害が大きかったむかわ町・安平町では各300人、液状化現象が起きた札幌市清田区では約940人が減少。
番組は、地震の前に引っ越してきた移住者の人たちに注目。地震の後も町に留まる理由とは。取材を通して見えたのは、町や周囲の人たちに「何かを返したい」という思いだった。



Still0904_00007.jpg厚真町中心部にことし3月完成した、仮設店舗。4軒の店や会社が入っている。そのうちの1軒、アロマを使ったマッサージ店を営む本木ちひろさん。田舎暮らしに憧れて、夫と子供3人で、苫小牧から5年前に移住してきた。避難生活を強いられる中、地震から1カ月後、苫小牧で知り合いが営業場所を提供。厚真から通いながら営業を再開した。





Still0904_00009.jpg「地震の直後は動揺が激しく、人を癒す仕事をやるのが怖かった」と振り返る本木さん。「応援してくれる人がいたので再開したら、多くの客が来て元気をもらいながら営業している」と話す。
仮設店舗の完成を機に厚真で営業を再開。町内では、ボランティアで被災者へのマッサージも行っている。





Still0904_00012.jpg同じ仮設店舗の一角。輸出・輸入業を営む佐藤稔さん。神奈川県の出身。2年前に、田舎で子育てがしたいと妻と子供2人で移住した。佐藤さんは主にキャンプ用品や車などを扱うが、厚真に来てから地元の食材(ジンギスカンやコメなど)も販売するように。自宅は10センチ以上も玄関側に傾き、全壊と判定。裏山が崩れる危険があるとして、地震後数か月は立ち入りすら禁じられた。




Still0904_00016.jpg地震後、励みになったのは仕事の依頼の急増。各地で復興支援イベントが開かれ、その窓口として役場や商工会、地元の農家などから商品の販売や発送を頼まれた。イベントにも自ら出向き、特産のジンギスカンを焼いて提供することも。取引先の「あづまジンギスカン」。地震直後、売り上げは落ちこんだものの、「応援で来てくれた客が多かった」と、結果的に前の年の1.5倍に増えたという。輸出・輸入業を営む佐藤さんの力も大きかったという。



Still0904_00017.jpg同じく佐藤さんの取引先で、シイタケ農家の高橋清吾さん。シイタケの原木はすべて倒れ、再開までにひと月以上かかった。自宅も大規模半壊の判定を受けた。それでも、佐藤さんが矢継ぎ早に注文を持ってきて、1日20キロ近くを納めることも。それを佐藤さんが関東や関西に店舗を持つ飲食チェーンに卸した。すぐに底を突くほどの人気ぶりだとか。高橋さんは「佐藤さんの存在はありがたい。作っている以上はおいしいものを食べてもらいたい。農家は皆同じ気持ち」と話す。



Still0904_00018.jpg役場に設けられた、災害エフエムの放送室。この日の担当は、恵庭市出身の村上紗希さん。去年4月、地域おこし協力隊として厚真町に移住してきた。地震直後、家族や友人から実家に帰るよう言われたというが、「何か助けになりたい、わたしにできることはないかなと思い、自分一人だけ離れるという選択肢はなかった」と振り返る。





Still0904_00026.jpg当初は町の魅力を発信する、ライターとして活動。地震後は、町の中心部で仲間の地域おこし協力隊が運営する旅館で、毎週1回カレー店を営業。厚真産の米や野菜を使ったメニューが揃う。反応は上々。客の多くは、災害復旧工事に携わる関係者。地元の住民として、復興を直接感じられる「現場」に充実感を感じている。「震災があった町ではなく、おいしいものなどプラスの情報を発信したい。カレーが復興の一助になってくれているなら、カレー屋冥利につきるし、うれしい」と話す。



Still0904_00027.jpg被害の大きかった厚真・安平・むかわの被災3町は、復興計画を作成している。計画の一番の柱は、被災者の住宅問題。町独自で住宅の新築をする人に金銭的な支援をしたり、公営住宅を新たに建設したり、不安の解消に努めるとしている。
復興への道は、まだこれから。被災地では、それぞれの立場から、一歩ずつ前へ進んでいる。
【取材先】
アロマ&リンパセラピー Olive、TREASURE TRADING、あづまジンギスカン、カレー屋 試(こころみ)、山口農園