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- 2019.01.26 放送
- 特 集商業捕鯨再開で道内への影響は?
きょうのテーマはクジラ。
政府が先月26日にIWC=国際捕鯨委員会からの脱退を表明し、今年7月から商業捕鯨=つまり営業目的の大型クジラ漁が許可されるようになる。
道内ではこれまで網走と釧路、函館が捕鯨の拠点となっており、クジラにも馴染みが深い。
そのうちの一つ網走市。
網走での捕鯨の歴史は大正4年、東洋捕鯨が進出したことに始まる。当時、良質なタンパク源となるクジラは重宝され、最盛期の昭和20年代には7社が操業した。
しかしその後の乱獲で資源が減少、捕鯨産業は衰退した。
1986年にはIWC国際捕鯨委員会がモラトリアム=捕鯨の一時停止措置を発動し、網走市などは調査捕鯨の拠点として学校給食にクジラを取り入れるなど鯨食文化を細々と守ってきた。市内の飲食店も今回の商業捕鯨にも期待を寄せる。
日本がIWCを脱退することに対し、国際的な批判もある。
今回の判断について、北海道大学水産科学研究院でクジラについて研究する松石教授は「賛成」の立場だという。「適正なルールのもと漁業権が守られるべき。乱獲とならないよう、持続可能な資源管理が求められることになる」と語る。
一方で道東でホエールウォッチングを営む男性は「捕鯨船が追い回すとクジラは警戒して姿を現さなくなる」と不安をのぞかせる。漁師の立場を理解しつつ「見る方は見る方、捕獲する方は捕獲する方でウィンウィンになってほしい」と語る。今回、商業捕鯨を400年以上も前から盛んに行い全国的にもその名が知られるクジラのまち、和歌山県の太地町を取材した。紀伊半島の先端に位置する太地町。小高い山々に囲まれた入り江が特徴的で、独特な地形に3000人ほどが住む。マチのいたるところにクジラにまつわるオブジェや看板が。
町唯一のスーパーには鯨やイルカの商品が20種類以上並ぶ。追い込み漁が行われたと聞きつけると、町民が鯨肉を目当てにスーパーを訪れ、クジラが獲れると肉のコーナーは売れにくいのだとか。
一方で常に反捕鯨団体からの激しい反対運動にさらされてきた。
追い込み漁を行う入り江の目の前には臨時の交番も。太地町ではただ獲るだけではない。港を歩くと若い人たちが...。彼らは全国から来た水族館のスタッフや研究者。太地町は全国の水族館にイルカを供給するほか、トレーニングの拠点などにもなっている。こうした人たちは長期間滞在、町にとって欠かせない住民だ。